【詳細】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(6月9日)

イスラエル軍はガザ地区の中部で人質4人を救出した作戦について数週間にわたって入念に準備を重ねた上で実施されたとしていますが、ハマス側と激しい銃撃戦となり空爆なども行ったことで、住民に多数の死者が出たとみられています。ハマス側は反発を強めていて、停戦や人質解放に向けた交渉にも影響を与える可能性があります。

※中東情勢に関する日本時間6月9日の動きを随時更新してお伝えします。

イスラエル軍は、8日にガザ地区中部で行われた女性1人と男性3人の合わせて4人の人質を救出した作戦について情報機関が人質の居場所を突き止め、特殊部隊などが数週間にわたって入念に準備を重ねた上で実施されたとしています。

作戦は午前11時に開始され、女性が拘束されている建物と男性たちがいる別の建物を同時に襲撃したということです。アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは、夜間ではなく、あえて日中に作戦を開始したのは、ハマス側の隙を突くためだったと伝えています。

イスラエルの有力メディア、ハーレツによりますと、女性の救出は比較的順調に進んだものの、男性3人を救出する際に、ハマスの戦闘員と激しい銃撃戦となり、空軍の支援も受けて周囲に空爆も加えながら人質を脱出させたということです。

イスラエル軍は、作戦によるパレスチナ人の死者は100人以下だとしていますが、ハマス側は住民210人が死亡したと主張し、反発を強めていて、停戦や人質解放に向けた交渉にも影響を与える可能性があります。

ガザ地区の保健当局は、今回の人質救出作戦が行われる前の時点でこれまでに3万6654人が死亡したとしていて、交渉に進展が見られない中、住民の犠牲が増え続けています。

人質救出作戦 アメリカ政府 情報提供で協力 米メディア

イスラエル軍がガザ地区中部で人質4人を救出した作戦では、アメリカ政府による情報提供の協力もあったとアメリカの複数のメディアが伝えています。

このうちアメリカの有力紙、ワシントン・ポストは8日、複数の関係者の話として、戦闘が始まった去年10月以降、イスラエルに拠点を置くアメリカのチームが、無人機や通信の傍受などから得た人質の居場所に関わる情報をイスラエル側と共有していると伝えています。

そして、今回の作戦でも、上空からの画像を含めたアメリカ側からの情報の提供があったとしています。

ワシントンでは即時停戦求める大規模抗議デモ

イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦と人質解放に向けた交渉に進展が見られない中、アラブ系アメリカ人などが即時停戦を求め、首都ワシントンのホワイトハウス前で大規模な抗議デモを行いました。

抗議デモはアラブ系アメリカ人の団体が呼びかけたもので8日、全米各地から数千人が集まり、ホワイトハウス前の広場を埋め尽くしました。

参加者たちは「虐殺をやめろ」とか「イスラエルへの軍事支援をすべて止めろ」などと書かれたプラカードを掲げて即時停戦を求めるとともに、イスラエルへの軍事支援を続けるバイデン政権の対応を厳しく非難しました。

デモに参加した男性は「血塗られた戦闘が終わり、子どもの犠牲がなくなることを望んでいる。バイデン大統領には停戦に向けて動いてほしい。私たちはイスラエルを支援すべきではない」と話していました。

また、参加した女性は、8日も多数のガザ地区の住民が犠牲になったことについて「どれだけ悲惨かことばでは言い表すことができない。戦闘が始まった8か月前にすでに越えてはいけない一線を越えてしまっていた」と話していました。

アメリカ国内では、イスラエルを支持する声も根強い一方、ガザ地区の住民の犠牲が増えるにつれ、イスラエルへの軍事支援を継続しているバイデン政権への反発も強まり、秋の大統領選挙にも影響を与える可能性が指摘されています。

米軍 ガザ地区への人道支援物資搬入再開を発表

アメリカ軍がガザ地区の海岸に設置した浮き桟橋は一部が破損したため人道支援物資の搬入が中断されていましたが、アメリカ中央軍は8日、物資の搬入が再開されたと発表しました。

8日にはガザ地区におよそ500トンの物資が搬入され、搬入が始まってからこれまでに1500トンを超える物資がガザ地区に届けられたとしています。

ただ、海上の天候などの制約を受ける浮き桟橋は人道状況を改善させる決め手にはならず、イスラエル軍によるラファへの地上作戦によって検問所が閉鎖されるなどして物資の搬入が滞る中、深刻な人道状況が続いています。

イスラエル軍 人質4人救出 ハマス側“多くの住民死亡”と反発

イスラエル軍は8日午前、ガザ地区中部のヌセイラトで作戦を実施し、人質4人を救出したと発表しました。

イスラエル政府は、救出された人たちが家族と再会し、喜びあう姿を写した映像や写真を公開し、成果を強調していて、ネタニヤフ首相も声明で「イスラエルがテロに屈しないことを証明した。人質全員を取り戻すまで手を緩めることはない」と述べハマスへの攻勢を強める構えを示しています。

一方、パレスチナの地元メディアなどはイスラエル軍が救出作戦を行ったとする時間帯に、ヌセイラトなど中部で激しい攻撃が行われたと報じ、多数のけが人が病院に運び込まれている様子などを伝えています。

ガザ地区の病院の担当者は、この攻撃で少なくとも55人が死亡したと発表したほか、ハマスによる地元当局は210人という多くの住民が死亡したと主張しています。

地元当局は「イスラエル軍は野蛮で残忍な攻撃を行い、民間人を直接標的にした」などとする声明を出し、反発を強めていて、停戦や人質の解放に向けた交渉にも影響を与える可能性があります。

米 バイデン大統領「停戦成立まで努力を止めない」

アメリカのバイデン大統領は人質の解放を歓迎しつつ「人質全員が帰還し、停戦が成立するまで、私たちは努力を止めない」と述べ、停戦の合意に向けて外交努力を続ける考えを示しました。

仏 マクロン大統領“人質解放歓迎も人道状況は受け入れられず”

フランスのマクロン大統領は、バイデン大統領との首脳会談のあとの記者発表で「イスラエル軍が4人の人質を解放したことを歓迎する」と述べました。

一方で「私たちは、即時停戦が実現し、政治的解決への展望が開かれることを望む。ラファの人道状況は受け入れられず、イスラエルが人道物資の搬入の経路を完全に開かないことも容認しがたい」として、イスラエル側に苦言も呈しました。