ロシア プーチン大統領 欧米諸国を強くけん制

アメリカのバイデン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に対して新たな軍事支援を決めたと伝えるなど、欧米諸国がウクライナとの連帯を強調する中、ロシアのプーチン大統領は、欧米側への報復措置や核戦力に改めて言及し、強くけん制しました。

ロシアのプーチン大統領は7日、第2の都市サンクトペテルブルクで開かれている「国際経済フォーラム」の全体会合で演説したあと、司会者の質疑に応じました。

この中で、アメリカなどが自国が供与した兵器でロシア領内を攻撃することを許可するなど、ウクライナへの関与を強めていることに対し、プーチン大統領は「軍事的な圧力を受ける国などにわれわれも兵器を供与する権利は保持している」と述べ、欧米諸国と対立する国に対してロシアが兵器を供与するという報復措置に言及しました。

また、ロシアが核兵器を使用する可能性について「国の主権と領土の一体性に対し脅威が生じた場合は可能性があるが、そのようなケースが起きたとは考えていないし、必要性もない」と述べました。

ただ「世界や周辺で何が起きているか注視している。核ドクトリンに何らかの変更を加える可能性を排除するものではない」とも述べ核兵器の使用条件が変更される可能性をちらつかせました。

一方、アメリカのバイデン大統領は、第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦から80年となる節目にあわせて訪れたフランスで7日、ゼレンスキー大統領に対して新たな軍事支援を決めたと伝えるなど、欧米諸国はウクライナとの連帯を強調しました。

こうした中でプーチン大統領は、欧米側への報復措置や自国の核戦力に改めて言及し強くけん制した形で、ウクライナ情勢を巡り欧米側とロシアが激しく対立する現状を象徴するものとなりました。

演説では“欧米が制裁強化も友好国と経済関係を維持”と強調

全体会合には南米のボリビアやアフリカのジンバブエの大統領が出席する一方、会議には、ロシアと関係が深いハンガリーを除くと欧米側の出席はほとんどありません。

一方、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は、第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦から80年を記念するためフランスで開かれた式典に参加し、マクロン大統領やアメリカのバイデン大統領、ドイツのショルツ首相など、欧米各国との連帯を強調しました。

アメリカなどは、自国が供与した兵器でロシア領内を攻撃することを許可するなど、ウクライナへの関与を強めています。

プーチン大統領は演説の中で「あらゆる障害や不当な制裁にもかかわらず、ロシアは依然として世界貿易の主要な参加国であり、物流や協力を発展させている」と述べ、欧米側が制裁を強化する中でもロシアは友好国との間で経済関係を維持していると強調しました。

また、世界の指導者だった国々はあらゆる手段を使って覇権的な役割を守ろうとしているとして欧米諸国を念頭に非難し、会場を訪れている中東、アフリカ、アジアの国々との経済的な連携を呼びかけました。