野生イノシシの豚熱感染 佐賀県にワクチン入り餌推奨へ 農水省

佐賀県で野生のイノシシから初めてブタの伝染病、CSF=豚熱の感染が確認されたことを受けて、農林水産省はイノシシを介して養豚場に感染が広がるのを防ぐため、佐賀県に対してワクチンを入れた餌の散布を推奨することを決めました。

豚熱は伝染力の強いウイルスによるブタやイノシシの感染症で、人には感染せず、仮に感染した肉を食べても人体に影響はありませんが、ブタでは致死率が高く、養豚業への影響が懸念されています。

農林水産省は、先月30日以降に佐賀県唐津市で捕獲された野生のイノシシ2頭で初めて豚熱の感染が確認されたのを受けて、7日、緊急の会議を開きました。

この中で、坂本農林水産大臣は「養豚の主産地の九州で豚熱の感染拡大リスクが、かつてないほど高まっている。危機感を共有し、防疫対策に取り組むことが必要だ」と述べました。

九州の各県では、すでに養豚場でワクチンの接種が行われていますが、会議では豚熱のウイルスが野生のイノシシを介して養豚場に広がるのを防ぐため、イノシシへの感染対策として佐賀県に対して、ワクチンを入れた餌の散布を推奨することを決めました。

今後は、佐賀県が事前に作成していた散布計画に基づいて、山林などにワクチンを入れた餌を散布していくということです。

野外でのワクチン散布はこれまで本州と四国のすべて、38の都府県で行われていますが、九州では佐賀県が初めてです。

このほか農林水産省では、九州の各県に、野生のイノシシで感染が広がっていないか調査を強化することや、養豚場での感染対策を改めて徹底することなどを呼びかける通知を出すことにしています。