里親 登録の7割が子ども受け入れできず 総務省が家庭庁に勧告

虐待や保護者の病気など、さまざまな事情で親元で暮らせない子どもを受け入れて育てる「里親」として児童相談所に登録している家庭のうち、およそ7割が子どもを受け入れることができていないことが総務省の調査でわかりました。背景には子どもの年齢が里親の希望と異なるなどミスマッチがあるとみられ、総務省はこども家庭庁に対し解消に向けて取り組むよう勧告しました。

虐待や保護者の病気など、さまざまな事情で親元で暮らせない子どもは全国におよそ4万2000人いるとされ、国はより家庭に近い環境で育てるため里親などに養育を委託する取り組みを進めていますが、里親などの元で暮らす子どもは令和3年度末の時点で7800人ほどと、2割程度にとどまっています。

この里親制度の課題をさぐるため、総務省行政評価局は、今月までの1年余りにわたって、全国の児童相談所から29か所を抽出して調査を行いました。

その結果、対象となった児童相談所に里親として登録している2690世帯のうちおよそ7割にのぼる1910世帯が、子どもを受け入れることができていないことがわかりました。

理由を調べたところ、子どもの年齢などが里親の希望と異なるといったケースが全体の3割を占め、背景に里親と子どものミスマッチがあるとみられるということです。

その一方で、今回の調査では里親が希望とは異なる年齢の子どもを短期間受け入れ、養育の経験を積んだ結果、当初抱いていた不安などが解消され、長期の受け入れにつながったケースもあったということです。

総務省はこうしたケースも参考にして、里親と子どものミスマッチの解消に向けて取り組むよう里親制度を所管するこども家庭庁に勧告しました。

こども家庭庁は「勧告を踏まえて検討し、必要な措置を講じたい」としています。

加藤こども相 “勧告を踏まえながら支援に取り組む”

加藤こども政策担当大臣は記者会見で、「さらなる里親委託の推進が必要だと考えており、今年度からは里親支援センターを創設し、包括的に支援する体制を強化することにしている。勧告を踏まえた対応を講じながら、社会的養護を必要とする子どもたちの育ちをしっかりと支えられるように取り組んでいく」と述べました。