欧州中央銀行 0.25%の利下げを決定 2019年以来 4年9か月ぶり

ヨーロッパ中央銀行は金融政策を決める理事会を開き、ユーロ圏のインフレ率の低下傾向などを受け、0.25%の利下げを決めました。利下げに踏み切るのは4年9か月ぶりとなります。

ヨーロッパ中央銀行は6日、ドイツのフランクフルトにある本部で金融政策を決める理事会を開き、0.25%の利下げを決めました。

▽主要な政策金利は現在の4.5%から4.25%に、▽金融機関から資金を預かる際の金利は4.0%から3.75%となります。

利下げは2019年9月以来、4年9か月ぶりです。

公表された声明では利下げの理由について「基調となるインフレ率が緩和し、物価の上昇圧力が低下しているという兆候が強まっている」などとしていて金融の引き締めの度合いを緩めるのが適切だとしています。

ヨーロッパ中央銀行は、インフレを抑え込むためおととし7月から10会合連続で利上げを行い、その後は2%の物価目標に向けて高い金利水準を維持してきました。

ユーロ圏の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べた伸び率がこのところは2%台と、一時10%を超えていたおととしの水準から低下し、景気への影響の懸念も高まっていたことから、今回の会合で利下げに踏み切った形です。

一方、金融政策の今後の方向性について声明では「特定の金利の見通しを事前に確約することはない」として、追加の利下げがあるかには触れず物価の動向などを引き続き注視していく姿勢を強調するにとどめました。

ラガルド総裁 “今後数か月 更なるデータや分析が必要”

ヨーロッパ中央銀行は今回の会合に合わせて最新の物価見通しをまとめました。

それによりますと、▽ことし(2024年)のインフレ率は2.5%、▽来年(2025年)は2.2%と見込んでいて、前回・3月の見通しからそれぞれ0.2ポイントずつ引き上げられました。

ラガルド総裁は会合のあとの記者会見でインフレ率の見通しが引き上げられたにもかかわらず利下げに踏み切った理由について「ここ数か月、今後の道筋に対する信頼が高まっていたためだ」と説明しました。

また、ヨーロッパ中央銀行が金融引き締めを緩和する段階に入ったかどうか問われたのに対し「その可能性は高いがデータに左右されるものでありスピードや時間は非常に不確かだ」と述べ、今後の利下げについては確約できるものではないという考えを示しました。

その上で、ラガルド総裁は「正しい方向を歩んでいるという確信に基づき判断しているが、今後数か月の間、その方向性を常に確認するため更なるデータや分析が必要だ」として会合ごとに経済指標などを注意深く見ていく姿勢を改めて強調しました。