IAEA理事会 イランに調査協力求める決議採択 イランは反発

イラン政府が申告していない場所から核物質が見つかった問題をめぐり、IAEA=国際原子力機関の理事会は、イランに対し現地での査察など、IAEAの調査に協力を求める決議を採択しました。イランは、この決議に反発を示していて、国際社会の懸念が高まっています。

イランでは、2019年から翌年にかけてイラン政府が申告していない複数の場所から核物質が見つかったため、IAEAが調査を続けています。

しかし、IAEAは、イラン側の協力が不十分だと指摘してきました。

この問題をめぐって、ロイター通信は、オーストリアのウィーンのIAEAで開かれている理事会で5日、イギリス、フランス、ドイツの3か国が提出した決議案の採決が行われたと伝えました。

賛成多数で採択された決議は、イランに対し、現地での査察やサンプルの採取を認めるなど、調査に早急に協力するとともに、イランが受け入れを取り消した核施設の査察官の一部について受け入れを再開するよう求めています。

これに対し、イラン原子力庁の報道官は「西側諸国は国際機関を利用して圧力をかけるのではなく、対話と協調の道を選ぶべきだ」と反発しています。

イランとIAEAの対立が解消される見通しが立たない中、イランは、核合意で定められたウランの濃縮度の上限を大きく超える60%まで高めたウランの製造を進めていて、国際社会の懸念が高まっています。