元選手村「晴海フラッグ」 3割以上の部屋で居住実態確認できず

選手村を改修した東京 中央区のマンション群「晴海フラッグ」で、法人が一部の部屋を投資目的で所有するケースが相次いでいると先週伝えました。その後の取材で、全体で2690戸ある分譲マンションの3割以上の部屋で、住民票がなく、居住実態が確認できないことが、新たに明らかになりました。

東京 中央区の湾岸部にある「晴海フラッグ」は、東京オリンピックの選手村を改修したマンション群で、主にファミリー向けに17棟の分譲マンションが完成し、ことし1月から入居が始まっています。

これまでの取材で、法人が一部の部屋を投資目的で取得するケースが相次ぎ、不動産仲介サイトには、すでに多数が賃貸や転売に出されていることが明らかになっています。

この分譲マンションは、全体で2690戸あり、引き渡しは終わっていますが、その後の取材で、マンションがある中央区に住民票が登録されたのは、今月1日時点で1747戸で、残る3割以上の943戸に住民票の登録がなく、居住実態が確認できないことが新たにわかりました。

人気を集めた晴海フラッグで、こうした空き部屋が数多く存在するのは、投資目的で買われ、賃貸や転売に出された部屋が供給過多となっていることが背景にあるとみられます。

5戸以上の部屋を購入し、賃貸物件として運用している法人の代表は、86平米の部屋を家賃44万円の条件で賃貸に出していますが、今も借り手は見つからないといいます。

代表は「賃貸募集の部屋が300戸以上あり、予想より多かった。借り手が決まるのは時間がかかりそうだ」と話していました。

さらに、こうした空き部屋の中には、物置などのレンタルスペースとして貸し出されているものもあります。

マンションの住民に配布されたチラシを見ると、部屋を区切った5畳ほどのスペースを、5万8300円で借り主を募集していると記されています。

住宅政策が専門の明治大学の野澤千絵教授は「投資層がたくさん入ってきている状況では、本当に住宅が必要な人に届かない。事業を監督する東京都が住民票を移して住む人が一定割合になるようコントロールすることが必要だった」と指摘しています。

東京都が住宅を必要とするファミリー向けに開発した晴海フラッグですが、投資の舞台となったことで、こうした異変が相次いで起きています。