上場企業の株主総会を前に株主提案受けた企業 少なくとも90社

今月ピークを迎える上場企業の株主総会を前に、いわゆるアクティビストなどからも含め株主提案を受けた企業は少なくとも90社となっています。経営陣の交代や収益が低い事業からの撤退などを求める内容の提案もあり、企業の向き合い方が焦点となります。

今月は、東京証券取引所に上場する2200社余りが株主総会を開催する予定で、三菱UFJ信託銀行のまとめによりますと、5日までに株主提案を受けた企業は少なくとも90社となっています。

このうち、香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントは製紙会社の北越コーポレーションに対して、長年、経営を担う社長のもとで業績が低迷しているとして社長と社外取締役4人の解任などを求める株主提案をしています。

また、アメリカの投資ファンド、日本グローバル・グロース・パートナーズ・マネジメントは、「赤いきつねうどん」などの即席めんで知られる東洋水産に対する株主提案で、水産食品に関する事業などから撤退して即席めん事業に集中すべきだとして、資本が効率的に使われているかを示す情報を開示するよう求めています。

企業に積極的に経営改革を促すアクティビストなども含めて株主提案が活発になっていて、東証も上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営に取り組むよう求める中、企業の向き合い方が焦点となります。

株主提案に反対する企業も

このうち製紙会社の「北越コーポレーション」は、社長の解任などを求めるアクティビストの株主提案に経営陣が反対し、真っ向から対立する構図となっています。

今月27日に株主総会を開く北越コーポレーションに対しては、香港の投資ファンド、「オアシス・マネジメント」が
▽岸本晢夫社長の代表取締役の解任や、
▽4人の社外取締役の解任を求めたうえで、
▽ファンド側から5人の社外取締役の選任を求める株主提案を行っています。

岸本社長は2008年以降、16年にわたって社長を続けており、今は唯一の代表取締役となっています。

投資ファンド側は、北越コーポレーションのガバナンス=企業統治に問題があると指摘し、「岸本氏がワンマン経営支配を維持してきた結果、取締役会は弱体化し、長期的な課題を見誤り、成長の展望を提示できていない」などと主張しています。

これに対し、北越コーポレーションは反対の意見を表明し、「岸本社長が就任している期間に、売り上げ、営業利益率などの成長は競合他社の平均を上回る水準となっている」などとして「批判は全く事実に反している」と反論しています。

ファンド側の株主提案が決議されるためには過半数の賛成が必要となりますが、北越コーポレーションの株主としては、
▽投資ファンド側が議決権ベースで20.1%の株式を保有しているほか、
▽「大王海運」と、その関連会社が合わせて21.1%の株式を保有しています。

大王海運は、北越コーポレーションが大株主となっている大王製紙の創業家をルーツにもつ会社で、大王海運は取材に対して「賛同することも検討している」としていて、株主総会で賛成と反対のどちらにまわるのかが大きな焦点となります。

さらに、そのほかの株主の動向が注目されます。