ボーイング 新有人宇宙船打ち上げ あす国際宇宙ステーションへ

アメリカの航空機大手、ボーイングが開発を進めてきた新しい宇宙船が、試験飛行として、初めて宇宙飛行士を乗せた状態で打ち上げられました。このまま順調に飛行を続ければ、日本時間の7日、国際宇宙ステーションにドッキングする予定です。

アメリカ南部のフロリダ州にある発射施設から打ち上げられたのは、ボーイングが開発を進めてきた新しい宇宙船「スターライナー」です。

宇宙船はロケットの先端に搭載され、NASA=アメリカ航空宇宙局の宇宙飛行士2人を乗せて、日本時間の5日午後11時52分に打ち上げられました。

およそ15分後にロケットから分離し、その後、宇宙船が、予定どおりの軌道にのると、管制室では拍手して喜ぶ様子もみられました。

このまま順調に飛行を続ければ、日本時間の7日、国際宇宙ステーションにドッキングする予定です。

今回は、実用化に向けた最終段階の試験飛行で、2人の宇宙飛行士は1週間ほど国際宇宙ステーションに滞在し、その後、再び宇宙船に乗って地上に帰還する予定で、打ち上げから帰還まで問題がないか確かめるのが目的です。

「スターライナー」の開発は当初の予定より遅れているほか、5月と6月にはカウントダウンの途中で打ち上げが延期になっていました。

国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を運ぶ手段は、現在、スペースXの「クルードラゴン」とロシアの「ソユーズ」に限られ、アメリカは安定した輸送手段の確保に向けて「スターライナー」の実用化を目指しています。

「スターライナー」とは

「スターライナー」はボーイングが開発を進めてきた宇宙船で、直径が4.5メートル、高さが5メートルの円すい型に近い形状で、最大で7人が搭乗できます。

宇宙飛行士が操縦することなく自動で飛行することができ、緊急時など、必要に応じて手動で操縦することもできます。

地球への帰還の際は大気圏に突入したあとパラシュートを開いて降下し、地面に着地する仕組みです。

異常時には宇宙船にある4つの緊急用エンジンを噴射することで、危険な状況から脱出することが可能だとしています。

スターライナーに宇宙飛行士が乗って打ち上げる試験飛行が行われるのは今回が初めてでした。

これに先だって2019年に行われた無人の試験飛行では、エンジンが正常に作動しなかったことから、国際宇宙ステーションへのドッキングを中止しています。

また、2022年に行われた2回目の無人の試験飛行では、国際宇宙ステーションへのドッキングに成功したあと地球に帰還しました。

しかしこのときも機材の一部で問題が見つかり、ボーイングが対応にあたるなどしたため、実用化に向けた最終段階となる、有人での試験飛行は当初の予定より遅れていました。

今回の有人試験飛行を経てNASAが承認すれば、「スターライナー」は運用段階に入り、国際宇宙ステーションと地球との間を宇宙飛行士が行き来するための輸送手段として使用されることになります。