イギリス 来月の総選挙に向け スナク首相と最大野党党首が論戦

イギリスで来月行われる総選挙に向けて初めてのテレビ討論会が行われ、与党・保守党を率いるスナク首相と最大野党・労働党のスターマー党首が経済政策などをめぐって激しい論戦を繰り広げました。

イギリスでは来月4日に総選挙が行われる予定で、最新の世論調査の支持率で最大野党の労働党が与党の保守党を大きくリードし、14年ぶりの政権交代が現実味を帯びています。

投票までちょうど1か月となった4日の初めてのテレビ討論会では、保守党を率いるスナク首相が、就任後にインフレ率を下げたとアピールし「この選挙は未来を選ぶものだ。私は減税を続けることを明確にしているが、労働党は増税するだろう」と主張しました。

一方、労働党のスターマー党首は、みずからが裕福ではない家庭の出身だと強調したうえで「首相は国民の状況をよく理解していない」と述べ、増税の対象は富裕層やエネルギー企業などに限ると説明しました。

また、不法入国者をアフリカのルワンダに強制的に移送する政策について、スナク首相は総選挙後に最初の便が出発するとして「私が首相のままなら飛行機は離陸し、抑止力となるだろう。あなたはどうするつもりか」と問いかけました。

これに対しスターマー党首は「私はかつて検察官として、国境を越えて活動する犯罪組織を取り締まっていた。こうした組織の撲滅は可能だ」と述べ、予算を密航業者の摘発に振り向ける考えを示しました。

大手調査会社による視聴者を対象にした調査では、勝ったのはスナク首相と答えた人が51%、スターマー党首とした人は49%で、ほぼ互角の結果となりました。

2回目のテレビ討論会は、今月26日に行われる予定です。

世論調査に基づく議席予測「労働党が大勝」

大手調査会社「ユーガブ」は3日、イギリス国内の6万人近い有権者を対象にした世論調査に基づく議席予測を発表しました。

その結果、議会下院の650議席のうち、労働党が422議席と、前回2019年の総選挙で獲得した202議席の倍以上に勢力を伸ばし、単独過半数を獲得すると分析しています。
これは、労働党が1997年、当時のブレア党首のもとで成し遂げた前回の政権交代の際の議席数を上回り、100年前、保守党が当時のボールドウィン党首のもとで政権を奪還した1924年に次ぐ、イギリスの選挙史上2番目の大勝になるということです。

一方、保守党は140議席と、前回の365議席から半分以下に減り、ハント財務相やシャップス国防相など主要閣僚も議席を失うと分析しています。

このほか、自由民主党が48議席と、前回の11議席から4倍以上増えて第3党となり、北部スコットランドを拠点とするSNP=スコットランド民族党は48議席から17議席に減らし、独立運動の停滞を反映して第4党に後退すると見ています。