神奈川の13私立大学 推薦書の書式統一へ 高校教員の負担減に

大学のいわゆる「推薦入試」で必要な高校からの推薦書について、神奈川県内にキャンパスがある13の私立大学が、これまで大学ごとにばらばらだった書式を次の入試から統一することになりました。全国初の試みだということで、高校教員の負担を、少しでも減らしたいとしています。

大学入試のいわゆる推薦入試=学校推薦型選抜で大学に進学する生徒は、全体の36%、私立大学では41%を占めています。

神奈川県内にキャンパスがある30の大学で作る連絡会によりますと、大学は高校に推薦書の提出を求めますが、記入項目や分量が大学ごとにバラバラな上、手書きを求められるケースも多く、教員の大きな負担になっているということです。

連絡会が関東甲信越の98の高校に対し、推薦書の統一書式についてアンケートを行ったところ「導入したほうがよい」と「導入してもよい」を合わせた回答が9割を超えたということで、「フォーマットがバラバラだとミスの原因になる」とか「夏休みを削って作成しているため、簡略化は非常に助かる」といった意見が寄せられたということです。

こうした声を受けて、連絡会では統一書式の推薦書を導入することを決めました。

新たな推薦書はA4用紙1枚で、氏名や志望学部のほか10行程度で推薦理由を書く欄があり、パソコンで入力できます。

次の入試では神奈川大学や桜美林大学など13の私立大学が採用する予定です。

連絡会は全国初の試みだとしていて、各地の大学に広げていきたいとしています。

統一推薦書の導入を中心になって進めた産業能率大学入試企画部の渡邊道子企画課長は「各大学の推薦書を集めてみて、あまりに書式が違うので正直驚きました。高校の教員の働き方改革に大学としても寄与したいという思いがあり、ぜひ、全国の大学にも、賛同いただけるといいなと思っています」と話しています。

高校教諭「推薦書作成 神経を使い業務量的にも大変」

大学ごとにバラバラの推薦書を作成している高校の教員からは、負担の軽減を求める声が上がっています。

横浜市磯子区にある県立横浜氷取沢高校では、例年3年生のおよそ3割が学校推薦型選抜=旧推薦入試で進学します。

先月から、推薦基準などが大学から伝えられていて、11月から始まる入試に向けて今後準備が本格化するということです。

学校推薦型選抜では、高校に推薦書の提出が求められていますが、大学ごとに書式がバラバラな上、手書きを求められるケースも多く、大きな負担になっています。

小松原多恵子教諭は3年前に3年生を担当し、クラスのおよそ半数にあたる21人分の推薦書を作成しました。

子ども2人を保育園に預けていた小松原教諭は、日中は推薦書を書くことに集中し、子どもを寝かしつけてから深夜まで授業の準備などに当たったということです。

小松原教諭は今年度も3年生を担当していて「生徒の進路を決める最後の書類になるので、ミスやそごがあってもいけないので、神経を使うし、業務量的にも大変です。書くことが大学によって全部違うし様式も違うので、それに合わせて生徒の資質やPRするポイントをまとめなければならず、大変骨が折れます。書式が統一化されるだけで作業が効率化するので助かります」と話していました。