フィリピン軍 “南シナ海駐留部隊の食料 中国側に奪われた”

フィリピン軍は、中国と領有権を争う南シナ海のセカンド・トーマス礁の拠点に駐留する部隊に届けるため、航空機から食料を投下したところ、中国側に奪われたと発表し、「挑発行為であり違法だ」と非難しました。

フィリピン軍のトップ、ブラウナー参謀総長は4日、首都マニラで記者会見を開き、先月19日に南シナ海の岩礁、セカンド・トーマス礁にあるフィリピン軍の拠点に向けて航空機から駐留部隊のための食料を投下したところ、一部を中国側のボートに奪われたと発表しました。

フィリピン軍が公開した当時の様子だとする映像には、フィリピンの2隻のゴムボートと中国の2隻のスピードボートが海に落ちた食料をめぐって、回収を激しく競いあう様子が映っています。

会見でブラウナー参謀総長は「中国側の挑発行為だ。われわれの物資を奪うことも違法だ」と非難しました。

この岩礁にあるフィリピン軍の拠点をめぐって、中国側は、フィリピンが拠点を恒久化するために、建設資材を運びこんでいると主張し、中国海警局の船がフィリピンの輸送船に放水銃を使用するなど妨害行為を繰り返しています。

ことし3月には乗組員のけがが相次ぐ事態となり、フィリピン軍は物資の新たな補給方法を模索していました。

フィリピン軍によりますと、南シナ海で中国側が軍の補給物資を奪ったのは、これが初めてだということです。

中国外務省「フィリピン側が対立激化させている」

中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海の岩礁、セカンド・トーマス礁をめぐり双方の非難の応酬となるなか、中国外務省の毛寧報道官は4日の記者会見で、セカンド・トーマス礁を中国名の「仁愛礁」と呼び「仁愛礁の問題においてフィリピン側は絶えず権利の侵害や挑発をして対立を激化させている」と反発しました。

そのうえで「われわれはフィリピンに対し、信義に背いてもめごとを起こさないよう求める」と改めて主張しました。