南アフリカ総選挙 与党が初めて過半数割り込むこと確実な情勢

南アフリカの総選挙で、アパルトヘイト=人種隔離政策が撤廃されて以降、30年にわたって政権を担ってきた与党が初めて、議会で過半数を割り込むことが確実な情勢となっています。連立政権の樹立に向けた交渉が行われる見通しで、南アフリカの政治は大きな転換点を迎える可能性があります。

南アフリカでは、先月29日に投票が行われた総選挙の開票作業が進められていて、選挙管理委員会は、1日の時点でほとんどの開票所で作業が終了したとしています。

これまでの集計結果では、与党ANC=アフリカ民族会議の得票率がおよそ40%と、前回の57.5%から大幅に落ち込み、下院にあたる国民議会で初めて過半数を割り込むことが確実な情勢となっています。

ANCは、かつてアパルトヘイト撤廃運動を主導し1994年に行われた民主的な選挙で国民の支持を集めて、ネルソン・マンデラ氏が黒人初の大統領となって以降、30年にわたって政権を担ってきました。

しかし、汚職のまん延や経済の低迷、それに治安の悪化などへの国民の批判が高まっていました。

一方でANCは、第1党の座は維持するとみられ、今後、ANCを中心に連立政権の樹立に向けた交渉が行われる見通しです。

連立政権を構成し得る有力な野党の中には、欧米寄りで白人中心の政党や、白人の土地を国が無償で収用すべきだなどと主張する急進的な政党もあり、南アフリカの政治は大きな転換点を迎える可能性があります。