WHO「パンデミック条約」意見の隔たり埋まらず交渉期間延長

WHO=世界保健機関の年次総会で行われていた感染症対策を世界的に強化するための「パンデミック条約」をめぐる協議は、1日、最終日を迎えましたが、各国の間で意見の隔たりが埋まらず、交渉期間を最大1年、延長することになりました。

スイスのジュネーブで先月27日に始まったWHOの年次総会は1日、最終日を迎え、感染症対策を世界的に強化するための「パンデミック条約」をめぐる協議の行方が焦点となりました。

「パンデミック条約」は、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した際、先進国と途上国の間で対策に格差が生じた教訓を踏まえ、途上国への支援策などを盛り込んだ国際条約で、今回の総会での採択を目指して事前の調整が行われたものの、ワクチンの分配などをめぐって折り合えずにいます。

このため総会に入っても、各国の間で協議が重ねられましたが、意見の隔たりが埋まらず、今回の総会での採択は見送って、交渉期間を最大1年、延長する決議を全会一致で採択しました。

早ければことし中に開く特別会合か、遅くとも来年の年次総会までに、交渉を終わらせるとしていますが、各国の立場の違いが浮き彫りになる中で今後の話し合いがまとまるかどうかは予断を許さない状況です。

また総会では、感染症の発生時の対応手順などを定めた「国際保健規則」を改定し、既存の緊急事態宣言よりもさらに強く警戒を促すため「パンデミック緊急事態」の規定を新たに盛り込むことで合意しました。

テドロス事務局長は、閉幕後の記者会見で「『パンデミック条約』は合意に至っていないが、総会は前進する道を選んだ。『国際保健規則』の改定は分裂と分断が進む世界でも各国が団結できることを示した」と述べ、成果を強調しました。