【詳細】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(6月2日)

ガザ地区で戦闘を続けるイスラエルがイスラム組織ハマスに対し戦闘休止や人質解放などをめぐる新たな提案を行ったと、アメリカのバイデン大統領が明らかにしている中、イスラエルのネタニヤフ首相は、戦争を終わらせる条件はハマスの壊滅だなどと強硬な姿勢を崩しておらず、今後、ハマスが参加して交渉が再開されるのかが焦点です。

※中東情勢に関する日本時間6月2日の動きを随時更新してお伝えします。

戦闘休止などの新提案 国連やEUが支持する考え

アメリカのバイデン大統領は31日、イスラエルがハマスに対し、6週間の戦闘休止と人質の解放を含む3段階からなる新たな提案を行ったと明らかにし、国連のグテーレス事務総長やEU=ヨーロッパ連合のボレル上級代表などが提案を支持する考えを示しています。

こうした中、イスラエルのネタニヤフ首相は1日の声明で「戦争を終わらせる条件は、ハマスの軍事力と統治能力の壊滅、それに人質全員の解放であることに変わりはない。これらの条件が満たされる前にイスラエルが恒久的な停戦に合意することはありえない」と強調しました。

バイデン大統領が明らかにした提案では、第2段階で恒久的な停戦を実現するとされていますが、ネタニヤフ首相は依然として強硬な立場を崩しておらず、今後、ハマスが参加して交渉が再開されるのかが焦点です。

一方、エジプトのメディアは1日、イスラエル軍が先月6日にガザ地区南部ラファでの地上作戦を始めて以降、閉鎖されているエジプトとの境界にあるラファ検問所の再開に向けて、エジプトとイスラエル、そしてアメリカが2日にも協議を行うと伝えました。

人道支援物資の搬入で重要な役割を果たしていたラファ検問所が閉鎖されたことで、現地では食料不足が深刻化していて、人道状況の改善につなげることができるか、協議の行方が注目されます。

エジプトなど“交渉応じるよう”声明 イスラエル政権内で反発も

これについて仲介国のエジプトはカタールやアメリカとともにハマスとイスラエル双方に交渉に応じるよう求める声明を1日、発表しました。

ハマスの幹部は1日、中東の衛星テレビ局アルジャジーラに対して、「バイデン大統領の提案に前向きだ」としたうえで検討するとの意向を示しました。

一方、イスラエル側では連立政権を組む極右の政党の閣僚らから提案に反発する意見が相次ぎ、このうち、ベングビール国家治安相はSNSで「明らかにされた内容はハマスの壊滅を諦めることを意味する」などと述べ、ハマスを完全に排除しないかぎり戦争終結は許されないと指摘しました。

そのうえで、ネタニヤフ首相が交渉に応じれば政権から離脱するなどとけん制しました。

バイデン大統領は、新たな提案はイスラエル側が行ったものだとしていますが、イスラエルの政権内であつれきがあらわになった形で、交渉が再開し進展するかは依然不透明です。

ガザ地区では2日にかけても南部ラファなどでイスラエル軍による攻撃が続き、複数の死傷者が出ていると地元のメディアは報じていて、現地の保健当局は2日、これまでに3万6439人が死亡したとしています。