“職業ドライバー”約1割が緑内障などと診断 国交省が眼科検診

国土交通省がバスやトラックなどの運転手2300人あまりに眼科の検診を行ったところ、視野に影響が出る緑内障やその疑いなどと診断された人が全体のおよそ1割いたことが分かりました。

運転できないほど進行した人はいませんでしたが、分析した医師は「視野の異常は見過ごされがちなため、定期的な検診が重要だ」と話しています。

緑内障など視野に異常が出る病気は、徐々に進行するため症状を自覚しにくく、悪化に気付かずに運転を続けて事故につながるケースがあると指摘されています。

国土交通省は視野の異常が起きているバスやタクシー、トラックなどのドライバーの割合を把握するため、2021年度から3年間にわたり、全国の運送業者に呼びかけてドライバーに視野の病気の有無を調べる眼科の検診を受けてもらい、その結果を分析しました。

1日、新潟県内で開かれた学会でその結果が発表され、3年間で2376人が眼底検査などの検診を受けた結果、全体の11.2%にあたる267人が視野に異常が起きる原因となる緑内障やその疑い、または、網膜の病気と診断されたということです。

運転できないほど症状が進行した人はいなかったということですが、検診で異常を指摘された後、さらに詳しい検査を受けた人は、2022年度まででは4割以下、2023年度では2割にとどまったということです。

分析した岩瀬愛子 医師は、いわゆる視力検査では視野の異常は分からないことが多いとした上で「職業ドライバーに対して視野の検査は義務づけられておらず、異常が見過ごされがちなことが分かった。緑内障などは初期の段階で治療を始めれば、悪化を遅らせることができるので、運送事業者は、職員の安全運転のため、定期的に眼科検診を行う仕組みを作ってほしい」と話しています。