金門島沿岸に中国軍の船が進入 台湾側の警戒感強まる

台湾が実効支配する金門島の沿岸の水域に、中国軍の船2隻が入って航行していたことが明らかになりました。
中国海警局などではなく、軍の船がこの水域に進入したことは、これまで伝えられておらず、台湾側では警戒感が強まっています。

台湾の沿岸警備を担当する海巡署が1日に発表したところによりますと、5月29日、金門島の南側の「制限水域」に、中国陸軍の補給船2隻が入りました。

台湾当局は、中国船が無許可で「制限水域」に入るのを禁じていて、海巡署の巡視艇が退去するよう求めましたが、船は、およそ40分間水域内を航行したということです。

台湾陸軍の金門防衛指揮部は「周辺の動向は全面的に把握できており、脅威の程度を見て適切な行動をとった」としています。

金門島の沿岸では、ことし2月、違法操業をしていた中国漁船が海巡署の取締り中に転覆して2人が死亡し、反発した中国当局が台湾側の管轄権を否定する立場を明確に示すようになりました。

その後、中国海警局などの船が台湾側の水域に進入するケースが頻繁に確認されていますが、中国軍の船の進入はこれまで伝えられていませんでした。

中国軍が先週行った軍事演習では、台湾本島の周辺だけでなく、金門島や、ほかの離島の周辺も対象区域となったうえに、今回、軍の船が金門島の沿岸の水域に進入したという新たな動きに台湾側では警戒感が強まっています。