【詳細】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(6月1日)

多くの住民が身を寄せるガザ地区南部のラファで地上作戦を続けるイスラエル軍は31日、中心部でも作戦を行っていると明らかにしました。1か月近く続くラファでの地上作戦は拡大する一方で、国連機関は人道支援物資を住民に届けられるよう安全の確保をイスラエル側に求めています。

※中東情勢に関する日本時間6月1日の動きを随時更新してお伝えします。

バイデン大統領 イスラエルの戦闘休止に向けた新提案明らかに

アメリカのバイデン大統領は31日、ホワイトハウスで演説し、イスラエルがハマスに対し、戦闘休止などに向けて新たな提案を行ったと明らかにしました。

新たな提案は3段階に分かれていて、第1段階では6週間、戦闘休止し、イスラエル軍がガザ地区の人口密集地から撤退するとともに、収監しているパレスチナ人を釈放する代わりにハマスが女性や高齢者などの人質を解放するとしています。

また第2段階では恒久的な停戦や残りの人質全員の解放を進めること、さらに第3段階ではガザ地区の復興計画の開始などが含まれているということです。

イスラエルによるこの提案はカタールを通じてハマスに伝えられたとしています。バイデン大統領は新たな提案について「イスラエルとパレスチナの双方に同じようによりよい未来を提供する政治的な合意に向けた土台となる。この戦争を終わらせるときだ」と述べてハマスに対して受け入れるよう求めました。

ハマス “提案に応じる用意ある” 肯定的な受け止め発表

これについてハマスは「イスラエルが提案を実行すると明言するならば、いずれの提案にも積極的かつ建設的に応じる用意がある」として、肯定的な受け止めを発表しました。

また、イスラエル首相府は「ネタニヤフ首相は、人質の解放とハマスの壊滅という目標が達成されなけれ戦争は終わらないとしている。条件をつけて段階的に移行するという提案は、こうした原則を維持することを可能にする」などとしています。

ただ、パレスチナのメディアは、1日未明もガザ地区中部の難民キャンプへの攻撃で多数のけが人が出ていると伝えているほか、これまでの死者は3万6284人となり、人道状況の悪化も続く中、交渉が進むかが焦点です。

イスラエル ラファ中心部でも作戦 国連は安全の確保求める

イスラエル軍は、ガザ地区南部のラファにあるエジプトとの境界地帯「フィラデルフィア回廊」を制圧したのに続き、31日、ラファ中心部でも作戦を行っていることを明らかにしました。

イスラエル軍はこれまでラファ東部などで作戦を行っていて、ラファでの地上作戦の対象地域は拡大し続けています。イスラエルメディアは5月上旬に地上作戦が始まってから軍がこれまでにハマスの戦闘員300人を殺害したと伝えています。

ラファでは人道状況が深刻化していますが、イスラエル当局は31日、南部のケレム・シャローム検問所でトラック600台分の物資が国連などによる受け取りを待っている状態だと主張しました。

これに対し現地で支援にあたる国連機関は、検問所へのアクセスがイスラエル軍の攻撃などで難しくなっているとしています。

国連の担当者も31日の会見で「物資を届けるためのイスラエル側の義務はガザ地区との境界で終わるものではない」などと述べ、物資を住民に届けられるよう安全の確保をイスラエル側に求めました。

一方、イスラエル軍はいったんは制圧していた北部ジャバリアへの攻撃を再開していましたが、31日、7人の人質の遺体を収容し、数百人の戦闘員を殺害して作戦を終えたと発表しました。