定額減税 今月から始まる デフレ完全脱却につなげられるか

1人当たり4万円の定額減税が今月から始まります。
物価上昇が続く中、政府は、春闘による賃上げが給与に反映される時期の減税で、手取りの増加を実感してもらう考えですが、制度が複雑で効果を感じづらいという指摘も出ていて、ねらいどおりデフレからの完全脱却につなげられるかが焦点です。

定額減税では、扶養家族も含めて1人当たり
▽所得税が3万円、
▽住民税が1万円減税され、
会社員など給与所得者の場合、今月支払われる給与やボーナスから適用されます。

夫婦と子ども2人の4人家族の場合、共働きかいわゆる「片働き」かに関わらず、世帯全体では、
▽所得税が12万円、
▽住民税が4万円の合わせて16万円が減税されます。

定額減税は、岸田総理大臣が「税収の増加を国民に還元する」として打ち出した肝いりの政策で、政府は、ことしの春闘による賃上げが給与に反映される時期にあわせて実施することで、手取りの増加を実感してもらい消費を活性化させたい考えです。

ただ、定額減税については、一定の消費の押し上げ効果はあるものの、制度が複雑で、所得や扶養家族の人数によっては減税が数か月にわたって行われ効果を感じづらいという指摘も出ています。

物価の上昇が続き、このところ消費に足踏みも見られる中、定額減税を経済の好循環とデフレからの完全脱却につなげられるかが焦点です。

森林整備などの財源に充てる「森林環境税」の徴収も

今月からは、自治体による森林整備などの財源に充てる「森林環境税」の徴収が始まり、1人あたり年間1000円が住民税に上乗せされます。住民税が非課税の人は対象となりません。

会社員など給与所得者で定額減税の対象となっている人は、今月分の住民税は非課税となるため、「森林環境税」は来月から徴収されることになります。また、公的年金を受給している人は10月から徴収されます。

企業の中からは不安の声

政府の定額減税について、企業の中からは今月分の給与の支給までに十分に対応できるか不安の声もあがっています。

このうち正社員とパート、合わせて110人余りが働く宮城県蔵王町の縫製会社では給与の計算などを3人で担当しています。

この会社では今月下旬の給与から所得税の減税を反映させる予定です。

今回、扶養家族の分も合わせて減税されることから、社員の扶養家族の人数を改めて確認するなど、4月から準備を進めてきました。

ただ、この会社では実際の給与額が確定するのは、今月20日以降になるため、給与の支給日にあたる今月28日までの1週間余りのあいだに、減税額の計算など初めての作業に正確に対応できるか不安を抱えています。

国によって義務づけられた給与明細への減税額の記載は、会計ソフトの更新で対応する予定ですが、万が一、不具合があった場合などは手書きとすることも念頭に置いているということです。

担当者は「所得税がいくらなのか、差し引かれる金額はいくら残っているのかと確認することが多く、これから毎月大変になると思う」と話していました。