新潟水俣病 公式確認59年で式典 熊本でのマイク切り 国が謝罪

新潟水俣病の公式確認から59年となる31日、新潟水俣病の被害や教訓を伝える式典が新潟市で開かれ、国は、熊本県で行われた懇談で患者団体の発言中にマイクを切った問題について謝罪しました。

新潟市北区で開かれた式典は新潟県が主催し、新潟水俣病の患者団体や環境省、それに原因企業などからおよそ100人が出席しました。

はじめに全員で黙とうを行い、亡くなった被害者に祈りをささげました。

そして患者団体を代表して「新潟水俣病阿賀野患者会」の曽我浩会長代行が「唯一のタンパク源として食べていたその魚に水銀が入っていて私たちは水俣病になりました。体や心の痛み、そして地域に甚大な被害を与えた水俣病はまだ終わっていない」と述べました。

このあと環境省の国定勇人政務官が、5月1日に熊本県で行われた懇談の際、環境省の職員が患者団体の発言中にマイクを切った問題について、「新潟水俣病で苦しむ皆さんに深い憤りと残念な思いをさせたと思っています。取り返しのつかない失態について、環境省を代表して心よりおわび申し上げます」と謝罪しました。

患者団体などは伊藤環境大臣の出席を求めていましたが、国会会期中のため調整がつかなったということです。

新潟県の花角知事は「今の救済制度の中では救われない方々がいるという思いで制度の見直しを要望している。終局的な解決を目指して国に主導的に動いてもらいたい」と話していました。

式典後 水俣病の患者団体などと環境省が懇談

31日、新潟市で開かれた新潟水俣病に関する式典のあと、水俣病の患者団体などと環境省の懇談が行われ、患者団体は「高齢化が進む中、一日でも早く解決してほしい」などと訴えました。

懇談には環境省から国定勇人政務官や前田光哉審議官が出席しました。

この中で国定政務官は、5月1日に熊本県で行われた懇談の際、環境省の職員が患者団体の発言中にマイクを切った問題について「決して許されてはいけない行為によって、思いを踏みにじってしまったことに、環境省を代表して心からおわび申し上げます」と改めて謝罪しました。

一方、患者団体などは
▽マイクを切るという問題がなぜ起きたのか考えてほしいという要望や
▽電流が走るような手足のしびれ、耳鳴りといった症状に苦しんでいること
▽差別や偏見を向けられる人がいることなどを訴えていました。

また、水俣病の認定基準を見直してほしいという要望も出て「被害者は高齢化が進み、本当に時間がありません。一日でも早く解決をという切実な思いを大臣に伝えてほしい」などと訴えていました。

懇談は予定を30分ほどすぎて終わりました。

患者団体の副会長「一日でも早く救済を」

新潟水俣病の患者団体の副会長を務める皆川栄一さんは「被害者の高齢化が進み、一日でも早く救済してもらわないと困るので、なんらかの法的な対応を検討してもらい、時間が経過しないうちに前に進めてほしいです。来年で新潟水俣病の公式確認から60年となるので、今後の環境省との懇談の場が解決の道につながるような話し合いの機会になってほしいと思います」と話していました。

環境省 国定勇人政務官「要望をしっかり受け止め 検討進める」

懇談のあと、環境省の国定勇人政務官は「一人一人の感情を肌身に感じた。きょういただいた要望をしっかり受け止めて検討を進めるとともに伊藤大臣にも報告したい」と話していました。