国連「ビジネスと人権」報告受け 当事者“国内に人権機関を”

国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が日本で初めて行った調査の報告書を公表したことを受け、報告書の中で政府や企業の対応に課題があると指摘された人権問題の当事者らが会見し、国内の人権機関の設立や有効な対応などを求めました。

各国の企業活動における人権問題などを調べて対応を促す国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会は、去年の夏に日本で初めて行った調査の報告書を公表し
▽ジャニー喜多川氏による性加害問題や
▽アニメーション業界の長時間労働の問題のほか
▽性的マイノリティーへの差別や
▽技能実習生の労働環境などについて課題を指摘しています。

これを受け国際人権NGOが30日都内で会見し、報告書では
▽日本政府には25項目
▽企業に10項目の提言がされているとしたうえで
「ビジネスと人権」の取り組みが不十分だと指摘されていると説明しました。

会見には報告書で言及された人権問題の当事者も参加し、性的マイノリティーの課題に取り組む団体の村木真紀代表は「国や自治体は性的マイノリティーの理解増進だけでなく、積極的な改善と救済に動いてほしいし、独立した人権機関の設立を求めたい。報告書ではネット上のヘイトスピーチについても指摘されており、有効な対応を強く求める」と訴えました。

また「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の平本淳也元代表は「報告書にあったように問題の解決にはほど遠い憂慮すべき課題が残されている。これを機に企業も含め人権の問題を見直してもらいたい」と話していたほか、石丸志門副代表は「報道関係者は報告書でメディアの関与が指摘されたことを深く心に刻んでもらい、救済が及んでいない人がまだ数百人もいるということを肝に銘じて報道してほしい」と指摘していました。

報告書は来月下旬に国連人権理事会に提出される予定です。