コロナ患者移送 入札で談合 旅行会社4社に排除措置命令 公取委

青森市が発注した新型コロナ患者の療養施設への移送業務の入札で談合を繰り返したとして、公正取引委員会は旅行会社4社に対し、再発防止を求める排除措置命令を出しました。

独占禁止法に基づく排除措置命令を受けたのは、いずれも青森市内に支店がある「JTB」、「東武トップツアーズ」、「名鉄観光サービス」、「日本旅行東北」の4社です。

4社は、青森市が発注した新型コロナ患者の療養施設への移送業務の入札で、落札する社や価格を事前に取り決める談合を繰り返していた疑いがあるとして、去年11月、それぞれ青森市の支店が、公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。

公正取引委員会によりますと、発注された業務はもともと4社を含む旅行各社が随意契約で請け負っていましたが、おととし4月に入札に切り替わり、以降、5件の入札で談合が行われていました。

支店長級の社員が、電話やメールで協議を重ねるなどして、事前に決めた社に落札をさせ、その後、業務を再委託して利益を分け合う仕組みを作っていたということです。

新型コロナ対策をめぐり排除措置命令が出されたのは初めてで、公正取引委員会は4社に対し、法令順守の指針を作り、社員研修を実施するなど、再発防止策を求めています。

一方、同じ去年11月に立ち入り検査を受けていた「近畿日本ツーリスト」は、審査が行われる前に違反行為を最初に自主申告したとして、命令の対象外になりました。

また、今回の審査では、青森市の担当者が旅行会社から談合をうかがわせる内容の連絡を受けていたことや、入札に関わる情報を漏えいしていたことも明らかになったということで、公正取引委員会は青森市に対しても再発防止の要請を行いました。

新型コロナ対策事業めぐり旅行業界での問題相次ぐ

コロナ禍による旅行需要の低迷で、旅行会社は厳しい経営を迫られていました。

公正取引委員会は、需要が減る中、今回命令を受けた4社に近畿日本ツーリストを加えた5社が、競争を避け、コロナ対策による利益を確実に得ようとして談合を行ったとみています。

新型コロナ対策の事業をめぐっては、ほかにも、
▽ワクチン接種に関わる自治体からの委託事業での過大請求や、
▽Go Toトラベルの補助金の不正受給など、旅行業界での問題が相次いで発覚しました。

業界団体の日本旅行業協会はことし3月、一連の問題の背景に
▽利益を過度に指向する風土や、
▽旅行以外の事業についての知識不足などがあったとする第三者委員会の調査結果を公表しています。