北朝鮮 複数の弾道ミサイル発射 EEZ外に落下か 被害情報なし

防衛省は、30日朝、北朝鮮から複数発の弾道ミサイルが発射され、いずれも日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したとみられると発表しました。

これまでに被害の情報は入っていないということで、政府は北朝鮮に厳重に抗議するとともに、引き続き、警戒・監視に全力をあげることにしています。

防衛省によりますと、30日午前6時13分ごろ、北朝鮮の内陸部から複数発の弾道ミサイルが北東の方向へ発射されました。

詳細はアメリカ、韓国と分析中としていますが、このうち、少なくとも1発の弾道ミサイルの最高高度はおよそ100キロで、350キロ以上飛しょうしたと推定しているということです。

落下したのはいずれも朝鮮半島東岸付近の日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海と推定され、これまでに被害の情報は入っていないということです。

政府は、「北朝鮮の行動は、わが国、地域および国際社会の平和と安全を脅かすもので、安保理決議に違反し、国民の安全に関わる重大な問題だ」として北朝鮮に対し、厳重に抗議し、強く非難したとしています。

その上で「国民の生命・財産を守り抜くため、引き続きアメリカや韓国などと緊密に連携し、情報の収集・分析および警戒・監視に全力をあげる」としています。

韓国軍“北朝鮮 短距離弾道ミサイルと推定される約10発発射”

韓国軍合同参謀本部の発表によりますと、北朝鮮が30日午前6時14分ごろ、首都ピョンヤン近郊の国際空港があるスナン付近から短距離弾道ミサイルと推定される10発余りを日本海に向けて発射しました。

飛行距離は350キロ余りで、韓国軍はアメリカや日本と関連する情報を緊密に共有し、詳しい分析を進めているとしています。

韓国の通信社、連合ニュースは、今回発射されたのは、その飛行距離から北朝鮮が「超大型ロケット砲」と呼ぶ短距離弾道ミサイルと推定されると報じています。

また、ピョンヤンからおよそ350キロの範囲には韓国にある主要な空軍基地が含まれると伝えています。

北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射は5月17日以来で、このとき北朝鮮は翌日になって、戦術弾道ミサイルの発射実験だったと発表していました。

北朝鮮は5月27日、軍事偵察衛星の打ち上げを試みて失敗し、これに関連して北朝鮮の外務次官が打ち上げへの対応を協議する国連安全保障理事会の緊急会合に反発する談話を、30日朝の発射直後に発表しました。

岸田首相「弾道ミサイルの発射 強く非難」

岸田総理大臣は、30日午前7時15分頃、総理大臣官邸に入る際、記者団に対し「北朝鮮が弾道ミサイルを発射したが、日本のEEZ外に落下したとみられ、現在のところ被害は確認されていない。私からは国民に対する情報提供、安全確認の徹底などの指示を出した。北朝鮮の弾道ミサイルの発射は関連の国連安保理決議に違反し、強く非難する。すでに抗議を行ったところだ。引き続き情報収集と警戒監視に努めていくし、日米、日米韓の連携も緊密に行っていきたいと考えている」と述べました。

“短距離弾道ミサイルと推定の10発余を日本海へ発射”韓国軍

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が午前6時14分ごろ、首都ピョンヤン近郊の国際空港があるスナン(順安)付近から短距離弾道ミサイルと推定される10発余りを日本海に向けて発射したと発表しました。

政府 緊急参集チーム招集 今後の対応を協議へ

政府は、総理大臣官邸に設置している北朝鮮情勢に関する官邸対策室で情報を集約するとともに、緊急参集チームのメンバーを総理大臣官邸に集め、今後の対応を協議することにしています。

岸田首相 迅速・的確な情報提供など指示

北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたことを受けて、岸田総理大臣は
▽情報の収集と分析に全力を挙げ、国民に対し、迅速・的確な情報提供を行うこと
▽航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、
それに▽不測の事態に備え、万全の態勢をとることを指示しました。

木原防衛相「警戒監視に全力を挙げていく」

木原防衛大臣は参議院外交防衛委員会で「詳細については日米韓で緊密に連携して分析中だが、現在までのところ、航空機や船舶からの被害の情報は確認されていない。防衛省としては、国民の生命財産を守り抜くため、引き続き、アメリカや韓国などとも緊密に連携し、情報の収集・分析および警戒監視に全力を挙げていく」と述べました。

日米韓3か国で電話協議 連携を改めて確認

弾道ミサイルの発射を受けて、外務省の濱本アジア大洋州局参事官はアメリカ国務省のジュン・パク北朝鮮担当特別代表代行、韓国外務省のイ・ジュンイル朝鮮半島政策局長と電話で協議を行いました。

3氏は、弾道ミサイルの発射が関連する国連安全保障理事会決議に違反することを確認した上で、地域と国際社会の平和と安全を脅かすものだとして、強く非難しました。

そして引き続き、日米韓3か国で緊密に連携することを改めて確認しました。

林官房長官「厳重に抗議し、強く非難した」

林官房長官は午前の記者会見で「被害報告などは確認されていない。北朝鮮による核・ミサイル開発はわが国や国際社会の平和と安全を脅かすもので断じて容認できず、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議し、強く非難した」と述べました。

その上で「今回の発射は衛星打ち上げを目的としたものではなかったと考えられるが、今後、発射を強行する可能性はあると考えている。引き続きアメリカや韓国などと緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析に努めるとともに警戒監視に全力を挙げる」と述べました。

一方、北朝鮮からごみや汚物が入った袋を付けた大量の風船が韓国に飛来したことに関連し、記者団から日本に飛んできた場合の対応を問われ「状況に応じて関係機関が連携して対応することになる」と述べました。