青森 貨物船沈没事故 急激な針路変更が原因 報告書まとめる

4年前、青森県の沖合で漁船と衝突した貨物船が沈没し、外国人の乗組員13人の行方が分からなくなった事故で、国の運輸安全委員会は貨物船が急激に針路を変えたうえ、漁船の乗組員が魚群探知機を見ていて貨物船の接近に気付かなかったことが衝突の原因だとする報告書をまとめました。

2020年2月、青森県六ヶ所村の沖合で、ベリーズ船籍の貨物船「GUO XING 1」と、青森県八戸市の漁船「第八富丸」が衝突し、貨物船が沈没して中国やベトナムなどの乗組員13人が行方不明になっている事故について、国の運輸安全委員会は30日、調査報告書を公表しました。

それによりますと、漁船は八戸港に向けて南に進み、貨物船は韓国に向けて北に進んでいましたが、事故の直前、漁船の東側にいた貨物船が急激に北西に針路を変え、そのまま航行を続けた2隻が衝突したということです。

貨物船が急激に針路を変えたのは、航行中の別の漁船との衝突を回避しようとした可能性があるとしたものの、当直の乗組員が行方不明になっているため、詳細は不明だとしています。

また、衝突するまで漁船がそのまま航行を続けたことについては、乗組員が貨物船の明かりを見て、自分の船の前を安全に通過すると思い、魚群探知機を見ていて、貨物船の接近に気付かなかったとしています。

運輸安全委員会は今回、救命いかだが使用されず、乗組員が水温の低い海に転落したことが被害が拡大した一因だとしていて、再発防止などのため船長がとるべき対応として
▽沈没のおそれがある場合には船から速やかに退去する措置をとることや
▽乗組員が救命設備の使用方法に習熟するよう措置することを挙げています。