福島県 原発事故の人件費損害賠償 東京電力への訴え取り下げ

福島県が東京電力福島第一原子力発電所の事故に対応するため、計画していた職員の削減が行えなかったなどとして、東京電力に対し、人件費などを賠償するよう求めていた裁判で、県は賠償の見通しが立ったとして訴えを取り下げたことを明らかにしました。

福島県は行政改革の一貫として、平成23年度からの5年間で職員を350人減らす計画を立てていましたが、その直前に発生した原発事故への対応のため計画どおりの削減ができなくなったとして4年前、東京電力に対し、削減できなかった人件費など9000万円余りの賠償を求める訴えを福島地方裁判所に起こしました。

県によりますとその後、東京電力から原発事故に対応する新たな部署の設置に伴って増加した人件費を支払うと申し出があり、県は賠償の見通しが立ったとして29日までに訴えを取り下げました。

具体的な金額については協議を行っていて、6月中にも合意したいとしています。

福島県財政課は「今後も被害の実態に見合った賠償が確実かつ迅速になされるよう、強く求めて参ります」とコメントしています。

東京電力は「原発事故により、いまなお広く社会の皆様に多大なるご心配とご負担をおかけしていることにつきまして、心より深くおわび申し上げます。今後、裁判外で福島県様のご事情を丁寧にお伺いし、適切に対応させていただきます」とコメントしています。