小林製薬 紅麹問題 原料製造の大阪工場 6か所で青カビ検出

大阪市に本社がある小林製薬の「紅麹」の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、大阪市は29日、問題となった製品の原料を製造していた大阪工場で、紅麹製造室の「培養室」など6か所から「プベルル酸」を生成する青カビを検出したことを公表しました。

この問題では、原因物質の特定を進めている厚生労働省と国の研究所は28日、途中経過を公表し、小林製薬の大阪工場と和歌山にある子会社の工場の両方に青カビが存在していたことが確認されたとしたうえで、「工場内の青カビが培養段階で混入して、『プベルル酸』などの化合物がつくられたと推定される」と公表しました。

これを受けて、大阪市は29日、市役所で3回目の対策本部会議を開き、市などが行っている調査の進捗(しんちょく)を報告しました。

それによりますと、問題となった製品の原料を製造していた大阪工場で、市などが紅麹製造室のカビとみられる汚れのついている部分、24か所を拭き取って検査したところ、このうち6か所から青カビを検出したということです。

検出したのは「試験室」や「培養室」など5つの部屋で、いずれも和歌山にある子会社の工場で見つかった青カビと同じ種類でした。

大阪工場は去年12月に閉鎖されているため、市は製造当時と同じ環境ではないものの、青カビが検出された場所は、紅麹の培養スペースから乾燥後の紅麹原料製造スペースまで、製造室全体にわたっていたとしています。

また、会議では、市が会社に命じた3種類の製品の回収数が、28日時点でおよそ15万8000個となったことが報告されました。

3種類の製品の出荷総数はおよそ113万個に上りますが、すでに消費や廃棄されたものも多く、大阪市は、会社側が試算した現実的な「回収見込み数」はおよそ19万1000個で、回収完了はことし9月ごろとなる見通しだとしています。

健康被害情報を判断する小委員会を新設

小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題では、会社からの健康被害の報告が遅れたことで、サプリメントの流通を止めるのも遅くなったことが指摘されています。

厚生労働省の専門家会議が29日開かれ、今後、機能性表示食品などのいわゆる健康食品との関連が疑われる健康被害の情報が寄せられた場合に、専門家の知見を踏まえて迅速に対応するための小委員会を新たに設けることになりました。

小委員会では学識経験者がメンバーとなり、寄せられた症例と食品との間に因果関係があるかどうかを判断し、製品の流通を止める法的措置を取るかどうかの迅速な判断につなげるねらいがあるということです。

また、会議では今後、機能性表示食品を製造・販売する事業者に対して、健康被害の情報の都道府県知事などへの報告を義務付けたうえで、報告しなかった場合には食品衛生法に基づいて営業禁止や停止の措置を可能とする厚生労働省の案についても議論されました。

委員からは報告の増加に備えて、保健所の体制を強化する必要性を指摘する意見などが出されました。