台湾議会の権限拡大の法案が可決 少数与党の新政権へ揺さぶり

台湾で野党が多数を占める議会・立法院の権限を拡大するための法案が28日、可決され、少数与党の頼清徳総統は就任早々、中国による軍事演習などの圧力だけでなく、台湾の内部でも野党からの強い揺さぶりを受けています。

立法院では、最大野党の国民党と野党第2党の民衆党の主導で「立法院職権行使法」や「刑法」などの改正案が審議されていました。

立法院で総統による報告と質疑応答を定例化することや、官僚が立法委員に逆質問したり、資料の提供を拒んだりする行為を罰することなどが改正のポイントとなっています。

立法院で多数を占める野党が権限拡大によって政権に対する制約を強めたいのに対し、少数与党の民進党はこれを阻止しようと、激しく対立しました。

28日も与野党の立法委員がもみあいになったり、与党側が法案への反対を示すために紙飛行機を飛ばしたりして、議場は騒然としましたが、深夜までかかって採決が行われ、賛成多数で可決されました。

立法院の外には、法案の内容や審議の進め方に不満をもつ市民がおおぜい集まり、野党に対する抗議の声をあげました。

今後は内閣にあたる行政院が審議のやり直しを求めたりすることもできますが、頼総統は就任早々、中国による軍事演習などの圧力だけでなく、台湾の内部でも野党からの強い揺さぶりを受けています。