能登半島地震の被災4県 倒壊などの建物 1人の申請で解体可能に

法務省と環境省は、能登半島地震で被災した4県に対し、倒壊や焼失した建物の解体や撤去を円滑に進められるように、複数の所有者がいる場合でも1人の申請で解体などができることを伝える文書を出しました。

自治体が災害で倒壊や焼失した建物の解体や撤去を行う場合、トラブルを避けるために所有者ら全員の同意を得ることが慣例となっていて、がれきの撤去などが進まない要因の1つという指摘も出ています。

法務省と環境省は、能登半島地震で被災した石川県、富山県、新潟県、福井県の4県に対し、建物の解体や撤去を円滑に進められるように文書を出しました。

この中では、倒壊や焼失、流失した建物は所有権がなくなることから、複数の所有者などがいる場合でも1人の申請で解体などができることや、法務局の登記官が建物を撤去したあとに行う「滅失登記」を、倒壊した建物は事前に行うことができるなどとしています。

小泉法務大臣は記者会見で「被災地に寄り添い、1日も早い復旧・復興につながるよう必要な取り組みを全力で進めていく」と述べました。

所有者全員の同意取ることが難しいケースも

能登半島地震で「半壊」と「全壊」となり、全額公費で解体される家屋は石川県でおよそ2万2000棟と想定されていますが、公費解体が行われたのは5月26日までに3%にあたる831棟です。

環境省によりますと、公費解体には住宅の所有者全員の同意が必要ですが、権利を持つ親族が複数いて全員の同意をとることが難しいといった理由で申請できないケースが依然として相次いでいるということです。

そのため環境省は法務省と連携し、自治体の要請で法務局の職員が調査を行って家屋の倒壊の状況を確認した上で建物が滅失したと登記すれば、公費解体を行えるとする新たな対策を建物への被害が確認されている石川県など4県に通知しました。

環境省は手続きを簡素化することで公費解体を加速させたいとしています。

伊藤環境大臣は「公費解体の課題を一つ一つ解決して、災害廃棄物の処理が円滑に、期間内に完了するように全力をあげたい」と話しています。