インボイス制度 価格引き下げ要求などで公取委注意 昨年度40件

去年10月に始まった「インボイス制度」をめぐり、未登録の事業者に対し、一方的な価格の引き下げを要求するなど、不当な利益の侵害につながりかねない行為があったとして、公正取引委員会が事業者に注意を行ったケースが、昨年度40件にのぼっていたことがわかりました。

「インボイス」は税率ごとの税額などを記載した新しい形式の請求書やレシートで、去年10月に始まった制度では、事業者が仕入れなどで取引先に支払った消費税額の控除や還付を受ける際、「インボイス」が発行されていることが条件になりました。

事業者が「インボイス」を発行するためには、国への登録が必要ですが、年間の売り上げ1000万円以下の小規模事業者は、これまで免除されてきた消費税の納付義務を新たに負うことになったため、登録を見送っているケースもあります。

制度への登録は任意ですが、公正取引委員会によりますと、未登録の事業者に対し、税の控除や還付を受けられないことを理由に一方的に価格の引き下げを要求する行為などが、相次いで確認されています。

不当な利益の侵害につながりかねないとして、公正取引委員会が注意を行ったケースは、昨年度40件にのぼったということです。

インボイス制度では、未登録の事業者と取り引きする場合でも、制度開始から6年間は一定の税額の控除を認める経過措置がとられていて、公正取引委員会は、制度を理由に不当な要求などが行われないよう、監視を強化しています。