富山 黒部「トロッコ電車」今季の全線開通を断念と発表

「トロッコ電車」の愛称で知られる富山県の黒部峡谷鉄道は能登半島地震で被災した橋の復旧工事に想定より時間がかかることがわかったとして、ことし秋に延期していた今シーズンの全線開通を断念すると発表しました。

黒部川上流を縫うように走る黒部峡谷鉄道は富山県の観光の呼び物です。

例年、雪がとける4月から一部区間で運行を始めていますが、能登半島地震で橋の1つ「鐘釣橋」が落石の被害を受けたため、全線開通を5月上旬から10月1日ごろに延期していました。

これについて黒部峡谷鉄道と親会社の関西電力は27日、富山県黒部市で記者会見を開き、雪どけ後の調査で「鐘釣橋」の上部の斜面にある岩を取り除く必要があり、復旧工事に想定より時間がかかることが分かったとして、今シーズンの全線開通を断念すると発表しました。

来シーズンについては工事の進捗(しんちょく)を踏まえて公表するとしています。

宇奈月駅と途中の猫又駅の間は通常どおり運行しています。

黒部峡谷鉄道の青島郁男総務部長は「全線開通が大幅に遅れ多大なご不便をおかけすることになり誠に申し訳ない。安全安心な運行ができるよう全力を挙げて取り組みたい」と話しています。

これに伴って、黒部峡谷鉄道の終点と黒部ダムを結ぶ関西電力の工事用路線「黒部宇奈月キャニオンルート」は、富山県の新たな観光ルートとして鉄道の全線開通に合わせて観光向けに一般開放される予定でしたが、県は開放を延期すると発表しました。

キャニオンルートは当初は来月30日に開放予定でしたが、能登半島地震による延期はこれで2回目です。