静岡県知事選挙 当選の鈴木康友氏 “現状把握し早急に議論を”

15年ぶりに新人どうしの争いとなった静岡県知事選挙で初当選を果たした、元浜松市長の鈴木康友氏が、27日朝、取材に応じ、「県政全体の現状を把握し、訴えてきた産業政策などの取り組みをどう広げるか、早急に議論していきたい」と意気込みを述べました。

当選から一夜明け、鈴木氏は午前9時半ごろに浜松市の事務所を訪れ、報道陣の取材に応じました。

この中で鈴木氏は「家に帰ったのが午前3時すぎでほとんど寝ていないので、まだ選挙の延長線上にいる。緊張感と喜びが入り乱れている」と心境を語りました。

そして、4期16年にわたって市長を務めた浜松市など、県西部の得票数が多かったことについて、「西部中心の県政になるのではないかという漠然とした不安があると思うが、いちばん気配りしていかなければいけないのは、小さな自治体の集合体である東部だ。仕事を通じて信頼していただけるよう努力していく」と述べました。

そのうえで、今後の県政運営については、「県政全体の現状を把握し、訴えてきた産業政策などの取り組みをどう広げるか、早急に議論していきたい」と意気込みを述べました。

また、県が、県内での着工を認めてない、リニア中央新幹線の問題については、「基本的には推進していかなければならないと思っているが、川勝前知事が提示した水の問題やアルプスの環境問題など、一つ一つの課題に現実的な解決策を見つけていくことが、結果的に推進につながっていく」と話しました。

岸田首相「党としても選挙結果を分析し国政にいかしていきたい」

岸田総理大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し「知事選挙は、その地域固有の課題や争点、さらにはこれまでの政治における経緯を中心に県民が判断するものだが、党としても今回の選挙の結果をしっかり分析し、政治改革をはじめ、国政を前に進めていく際にいかしていきたい」と述べました。

また、今の国会の会期末に衆議院を解散する考えがあるか問われ「従来、申し上げているとおり、今は政治改革など、先送りできない課題に専念し、結果を出すことに全力を挙げている。それ以外のことは考えていない」と述べました。

林官房長官「政権運営にいかしたい」

林官房長官は午前の記者会見で、結果についてのコメントは控えるとした上で、「民主主義の根幹である選挙は国民の意見を聞く貴重な機会であり、政府としても選挙を通じた国民の意見にしっかり耳を傾け、政権運営にいかしていきたい」と述べました。

その上で、今後のリニア中央新幹線の開業に向けた政府の対応を問われ、「国土交通省で、JR東海に早期開業に向けた努力を促すとともに、静岡県をはじめとする関係自治体との一層の対話を促すなど、品川と名古屋間の早期開業への環境整備を進めていきたい」と述べました。

立民 泉代表「自民党政治の不信が相当高まった結果」

立憲民主党の泉代表は、27日午後、NHKの取材に対し「非常に大きな勝利だ。静岡県内では、自民党の国会議員の離党や辞職があり、自民党政治に対する不信が相当高まった結果ではないか」と述べました。そのうえで「国民は自民党の政治改革の甘さをわかっており、怒りがたまっている。企業・団体献金や政治資金パーティーの廃止など抜本的な改革に取り組むのかどうか、今の国会でしっかり勝負をつけたい」と述べました。

立民 岡田幹事長「終わってみれば当然の結果」

立憲民主党の岡田幹事長は27日午前、大阪市で記者団に対し、「鈴木氏は優勢が伝えられ、実績がある人なので、終わってみれば当然の結果だ。今まで浜松市長として果たしてきた役割を、県全体に広げてもらいたい」と述べました。

また、次の衆議院選挙を含む今後の選挙に向けた党の対応について、「真摯(しんし)にしっかり党内で議論していくということだ。自民党もいろいろとやってくるので、懸命に乗り越えていくことも大事だ。理屈だけでは済まない部分がある」と述べました。

共産 小池書記局長「自民推薦候補者が敗れたことは大きな意義」

共産党の小池書記局長は記者会見で「リニア中央新幹線の建設と浜岡原子力発電所の再稼働に『ノーだ』と主張したのは共産党公認の候補者だけで、論戦をリードする大きな役割を果たした。残念ながら当選には至らなかったが、自民党推薦の候補者が敗れたことは非常に大きな意義がある」と述べました。