【詳しく】岸田首相 日韓首脳会談に続き日中首脳会談

韓国を訪れている岸田総理大臣は、中国の李強首相との首脳会談を行い「戦略的互恵関係」の推進などを再確認しました。一方、日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃を重ねて求めました。

それに先立ち、岸田総理大臣は韓国のユン・ソンニョル大統領と首脳会談を行いました。日韓国交正常化から来年で60年となるのを踏まえ、関係改善の流れをさらに加速させていくことを確認しました。

27日は4年半ぶりに開かれる日中韓3か国の首脳会議に出席する予定で、会議では、経済・貿易分野での協力などを確認し、共同宣言が発表される見通しです。

19:20ごろ

岸田首相 “有意義な会談”

岸田総理大臣は記者団に対し日中首脳会談について、「『戦略的互恵関係』の包括的な推進と、『建設的かつ安定的な関係』の構築という大局的な方向性を確認した上で、諸懸案についても議論ができ、有意義な会談となったと受け止めている」と述べました。

また、日韓首脳会談について「全体として日韓関係をさらに前に進めていこうという強い思いを、わたしとユン大統領との間で改めて共有することができ、大変有意義なものとなった」と述べました。

19:10すぎ

日中首脳会談終わる 「戦略的互恵関係」推進など再確認

岸田総理大臣と中国の李強首相との首脳会談は、晩さん会の会場でもある韓国・ソウルの国立現代美術館で、26日午後6時すぎから始まりました。

会談の冒頭、岸田総理大臣は「今後の両国政府の取り組みに指針を与えるべく、意見交換を深めたい。こうした努力の積み重ねにより日中関係を安定させていくことが、日中両国のみならず、地域や国際社会にとっても有益なものであると確信している」と述べました。

会談で両首脳は、去年11月の中国の習近平国家主席との首脳会談で一致した「戦略的互恵関係」を推進し、建設的で安定的な日中関係の構築を目指すことを再確認しました。

そして環境や省エネ、それに医療や介護などの分野で協力を推進するとともに、日中ハイレベル経済対話なども通じ、両国の交流を拡大させていくことで合意しました。

一方、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、岸田総理大臣は、IAEA=国際原子力機関も関与する形で行われているモニタリングを通じ、安全性に関する中国などの理解が進むことへの期待を表明した上で、日中両国による専門家も含めた事務レベルでの協議を加速していくことで一致しました。

その上で、中国が行っている日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃を重ねて求めました。

さらに、沖縄県の尖閣諸島を含めた東シナ海情勢や、中国による日本周辺での軍事活動の活発化などに深刻な懸念を表明したのに加え、中国に拘束されている日本人の早期解放も求めました。

また、中国軍による台湾周辺での大規模な軍事演習なども踏まえ、台湾海峡の平和と安定の重要性も伝えました。

そして北朝鮮をめぐり、核・ミサイル開発などに深刻な懸念を表明した上で、中国は重要な役割を果たす立場にあるとして、対応に期待する考えを伝えました。

拉致問題の即時解決に向けて、改めて協力を求めました。

経済面では、日本人が中国に短期滞在する際のビザの免除の早期再開について改めて要請し、両首脳は、正当な企業活動が保障されるビジネス環境を確保することが重要だという認識を確認しました。

中国 李強首相「新時代の安定的な中日関係の構築に努力したい」

日中首脳会談の冒頭、中国の李強首相はことし1月に北京を訪れた日本からの経済団体の関係者らとの会談などに触れて「いま、中国と日本の交流や協力は徐々に回復していると言える」と述べました。

李首相は「国際情勢が両国関係に少なからず影響を与えている」と指摘した上で、「われわれの間にある意見の隔たりをうまくコントロールし、新時代の要求にあった建設的で安定的な中日関係の構築に努力したい」と述べました。

18:00すぎ

日中首脳会談始まる

岸田総理大臣と中国の李強首相との会談は、晩さん会の会場でもある韓国・ソウルの国立現代美術館で26日午後6時すぎから始まりました。

処理水を巡る中国の動き

東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、中国政府は去年8月から日本産水産物の輸入を停止する措置をとっています。

中国側は輸入停止措置について「食品の安全と国民の健康を守るために、完全に正当で合理的かつ必要なものだ」としています。

また、中国は一貫して処理水を「核汚染水」と呼び、近隣諸国など利害関係者が参加する、独立した長期かつ国際的なモニタリング体制の確立を日本側に求めています。

こうしたなか日中両政府は、去年11月に行われた日中首脳会談の合意をふまえ、ことし1月中旬から双方の原子力の専門家を含めた政府間の協議を重ねています。

日中関係筋によりますと、中国側は4月にもモニタリング体制の構築に合意するよう日本側に改めて求めてきたということです。

また、中国の税関当局は日本の水産業者に認めていた中国への輸出に必要な登録の効力を、今月になっていっせいに停止しました。

中国政府の一連の対応は、国内世論などに配慮したものとみられますが、アメリカとの対立が続く中で国内の経済成長の鈍化もあり、日本との関係を早期に安定化させたいという思惑もあるとみられ、今後対応に変化があるのか注目されます。

17:30頃

日韓首脳会談終わる 関係改善さらに加速することを確認

岸田総理大臣は、26日午後4時半すぎからソウルの大統領府で、ユン・ソンニョル大統領との首脳会談を行いました。

会談の冒頭、岸田総理大臣は「ユン大統領と緊密に意思疎通を図ることができていることを大変うれしく思う。信頼関係をもとに今後ともシャトル外交を継続していきたい。国際社会が歴史的な転換点にある中、自由で開かれたインド太平洋を維持・強化し、グローバルな課題に効果的に対処するためにも、両国の連携をいっそう緊密化していきたい」と述べました。

両首脳は、日韓国交正常化から来年で60年となるのを踏まえ、若い世代の交流の拡大を図るなど両国の関係改善の流れをさらに加速させていくことを確認しました。

また、核・ミサイル開発を進める北朝鮮情勢をめぐり、国連の安全保障理事会の場も含めた今後の対応で連携を強化していくとともに、アメリカも加えた日米韓3か国の関係をさらに進展させていくことでも一致しました。

さらにユン大統領から、拉致問題の解決に向けた日本の取り組みを支持する考えが示されました。

このほか、水素やアンモニアなど、クリーンエネルギー分野での協力推進も申し合わせました。

韓国 ユン大統領「正常化60周年となる来年は飛躍を」

韓国のユン・ソンニョル大統領は岸田総理大臣との首脳会談の冒頭「私たち2人の強い信頼を基盤にして、この1年間、各分野の各レベルで交流が大きく拡大した」と述べました。

その上でことし1月からの3か月間に、およそ300万人が両国を行き来したとした上で「ことしの人的交流は、過去最高だった年を上回ることが予想される」と指摘しました。

そして「韓日関係改善の成果が着実に積み上がっていることを非常にうれしく思う。韓日国交正常化60周年となる来年は、両国関係を一層飛躍させる歴史的な転機にできるよう、岸田総理大臣と私が心をあわせて準備に取り組んでいきたい」と述べました。

16:30すぎ

日韓首脳会談始まる

韓国を訪れている岸田総理大臣は、26日午後4時半すぎからソウルの大統領府で、ユン・ソンニョル大統領との首脳会談に臨んでいます。

14:00前

岸田首相 政府専用機で韓国・ソウルに到着

岸田総理大臣は26日午後2時前、政府専用機で韓国の首都・ソウルに到着しました。

岸田総理大臣は、このあとユン・ソンニョル大統領との会談に臨む予定で、日韓関係の改善の流れをより確かなものにするため、首脳や閣僚間の意思疎通を一層、緊密にしていくことなどで一致する見通しです。

続いて中国の李強首相とも会談することにしていて、双方が共通の利益を拡大する「戦略的互恵関係」の推進などを改めて確認したい考えです。

一方、日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃など、両国の懸案に関する日本の立場を伝えるほか、先の中国による台湾周辺での軍事演習も踏まえ、台湾をめぐる問題を対話で平和的に解決することも求めるものとみられます。

12:00前

首相 羽田を出発「胸襟を開いて率直に意見交換を」

岸田総理大臣は26日から2日間の日程で韓国・ソウルを訪問し、およそ4年半ぶりに27日に開かれる、日中韓3か国の首脳会議に出席します。

また会議を前に韓国のユン・ソンニョル大統領、中国の李強首相とそれぞれ首脳会談を行うことにしていて、正午前に政府専用機で現地に向けて羽田空港を出発しました。

これに先立って岸田総理大臣は「前回の日中韓サミットから情勢が変化した中、地域の平和や繁栄に大きな責任を持つ3か国の首脳が一堂に会し、協力の方向性や国際社会に関わる課題について議論することは、大きな意義がある」と述べました。

その上で「胸襟を開いて率直に意見交換を行い、未来志向の実務協力で一致したい。議長であるユン大統領と連携して首脳会議を成功させ、日中韓プロセスの再活性化につなげていきたい」と述べました。

日中首脳会談については「李強首相との正式な会談は今回初めてとなる。去年11月の習近平国家主席との首脳会談で確認した戦略的互恵関係や、建設的で安定的な日中関係の方向性をしっかり確認し、大局的な視点から会談を行っていきたい」と述べました。