静岡県知事選挙 鈴木康友氏が初当選 立民・国民が推薦

15年ぶりに新人どうしの争いとなった静岡県知事選挙は、立憲民主党と国民民主党が推薦した元浜松市長の鈴木康友氏(66)が自民党が推薦した元副知事らを抑え、初めての当選を果たしました。

静岡県知事選挙の開票結果です。

▼鈴木康友(無所属・新)当選 72万8500票

▼大村慎一(無所属・新)65万1013票

▼森大介(共産・新)10万7979票

▼濱中都己(無所属・新)2万4315票

▼村上猛(無所属・新)1万5106票

▼横山正文(諸派・新)9263票

立憲民主党と国民民主党が推薦した元浜松市長の鈴木氏が、自民党が推薦した元副知事の大村氏らを抑え、初めての当選を果たしました。

選挙戦で鈴木氏は、市長時代の実績や経験をアピールするとともに、静岡県が県内での着工を認めていないリニア中央新幹線の推進や、企業誘致やスタートアップ企業の育成などを通じた地域経済の活性化などを訴えました。

鈴木氏「オール静岡で幸福度日本一の静岡県を」

鈴木氏は「これまで25年の政治・行政の現場で培った経験、知見、人脈など全部を注ぎ込んで県政の立て直しとさらなる発展に全力を尽くしていきたい。選挙は終わったので、全ての県民とともにオール静岡で幸福度日本一の静岡県を作るため全力を尽くしていきたい」と述べました。

立民 大串選対委員長「国政上にも大きなインパクト」

立憲民主党の大串選挙対策委員長は党本部で記者団に対し「自民党が裏金問題で自浄作用を全く発揮することができず、政治不信を深めている中、自民党が推薦する候補に対し、野党が推薦する候補が競り勝ったのは国政上にも大変大きなインパクトを持つ結果だ。野党に対して『しっかりしてくれ』という声のあらわれだと受け止めている。次の衆議院議員選挙に向けて受け皿となれるように頑張っていく」と述べました。

落選した大村氏「力及ばず心よりおわび」

落選した大村氏は「この選挙結果についてはすべてはわたしの不徳の致すところであり、力が及ばなかったことを心よりおわびする。静岡県が豊かな県として発展していくことを心から祈っている」と述べました。

自民 小渕選対委員長「県民の審判 しんしに受け止め」

自民党の小渕選挙対策委員長は「推薦した大村候補は懸命に施策を訴えたが激戦の中あと一歩及ばなかった。選挙で示された県民の審判をしんしに受け止めるとともに、県民本位の立場にたって今後も静岡県政の発展に力を尽くしたい」というコメントを発表しました。

確定投票率 52.47%

静岡県選挙管理委員会によりますと、静岡県知事選挙の確定投票率は、52.47%で、前回・3年前の選挙に比べて0.46ポイント低くなりました。

新知事の課題 「リニア中央新幹線」は

新しい静岡県知事が取り組むことになる課題の1つがJR東海が建設を進める「リニア中央新幹線」への対応です。

「リニア」は次世代交通の大動脈として現在、品川ー名古屋間で工事が進んでいて、そのルートは東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知の7つの都県を通り、9割近くがトンネル区間となる計画です。

このうち静岡県では川勝前知事がトンネル工事により県内を流れる「大井川」などの水資源や南アルプスの生態系への悪影響が懸念されるなどとして着工を認めず、工事を始められない状況が続いています。

このため、JR東海はことし3月、目指してきた2027年の開業を断念する方針を明らかにしていて、静岡での工事には10年程度かかることから仮に今すぐ着工できても開業は2034年以降になる見通しです。

JR東海の丹羽俊介社長は5月16日に行った記者会見で「新しい静岡県知事が就任した際には私の方から伺ってできるだけ早くお会いしたい。

双方向のコミュニケーションを大切にしながら真摯に取り組む姿勢を直接お伝えしたい」と述べ、速やかに新知事と面会し着工に理解を求めたいという考えを示しています。

静岡県内の水資源や環境保全をめぐっては国土交通省の有識者会議もすでにJR東海がとるべき対策をまとめていて、今回のトップ交代が事態の打開につながるかどうかに注目が集まっています。