石川 能登町の蔵で「文化財レスキュー」古文書など運び出し

能登半島地震で被災した石川県能登町にある蔵で、江戸時代の古文書など地元の歴史を伝える資料を運び出して安全な場所で保管する「文化財レスキュー」の取り組みが行われました。

「文化財レスキュー」は、地震などで被災した古文書や美術工芸品などを別の場所に運び出して一時的に保管する文化庁の事業で能登半島地震の被災地で進められています。

25日は、能登町宇出津にある土台が崩れるなどの被害を受けた蔵で、町の職員や大学教員などおよそ10人が作業に当たりました。

蔵の持ち主の先祖は、江戸時代に村役人だったと伝えられていて、江戸時代の年貢について記録された古文書のほか、大正時代の町の歳出入について記載された書類など、地元の歴史を伝える資料が見つかったということです。

取り出した古文書などは、一つ一つ丁寧に緩衝材などで包んだり、段ボールの箱に入れたりして町内の施設に運んでいました。

蔵の持ち主の久田万寿夫さん(69)は「この取り組みがなければ、震災ごみとして処分せざるを得なかったと思います。ありがたいです」と話していました。

町によりますと文化財レスキューは、およそ30件の依頼のうち、10件ほどで作業を終え、これまでに明治の軍人の乃木希典がしたためたとみられる書などが見つかったということです。