パラ陸上 世界選手権 400mユニバーサルリレー決勝 日本は失格

パラ陸上の世界選手権は大会8日目の24日、障害の異なる男女4人がつなぐ400メートル、ユニバーサルリレーの決勝が行われ、日本は3着でフィニッシュしましたが、その後、レーンの内側のラインを踏んでいたことがわかり、失格となりました。

神戸市で開かれているパラ陸上の世界選手権は、大会8日目の24日午後、障害が異なる男女4人が100メートルずつ走り、タッチで次の選手につなぐユニバーサルリレーの決勝が行われ、予選を通過した日本は、中国とインドネシア、それにイギリスの4チームでメダルを争いました。

いちばん外側のレーンの日本は、視覚障害の選手が走る1走の澤田優蘭選手が、ガイドランナーと伸びのある走りを見せて2走につなぎます。

腕や足に障害のある選手が走る2走の辻沙絵選手は、向かい風でスピードが落ちたほか、タッチワークに苦戦するも、3走の松本武尊選手につなぎました。

脳性まひなどの選手が走る3走は、松本選手が途中、強い風を受けてよろけるような場面もありましたが、粘り強い走りでアンカーの生馬知季選手につなぎます。

タッチを受けた車いすの生馬選手は、最後の直線でインドネシアの選手に競り勝って、日本は3着でフィニッシュしました。

しかし、その後、3走の松本選手がレーンの内側のラインを踏んでいたとして、失格となりました。

このほか日本勢は
▽女子走り幅跳び視覚障害のクラスは、高田千明選手が4メートル34センチで5位でした。

また、女子800メートル脳性まひなどのクラスは
▽小野寺萌恵選手が2分17秒18で5位
▽吉田彩乃選手が2分26秒95で7位
▽北浦春香選手が2分30秒16で8位でした。

「一番攻めることができたレース」

連覇を目指しながら「レーンの内側のラインを踏んでいた」として失格となったユニバーサルリレーの日本代表。選手たちはレースの直後、「一番攻めることができたレースだった」と前向きに捉えていました。

ユニバーサルリレーは、東京パラリンピックから採用され、視覚障害に義足など、脳性まひ、車いすと障害も性別も異なる選手が走る、パラリンピックの多様性の象徴ともいわれる花形種目の1つです。

日本は、個人の走力では海外の強豪に劣りますが、東京パラリンピックの後、国内で何度も合宿を開いてタッチのタイミングを繰り返し練習し、タッチワークに磨きをかけて去年の世界選手権で金メダルを獲得しました。

日本は午前の予選で、スムーズなタッチワークを披露して日本記録を上回る47秒60をマークし、全体の3番目のタイムで決勝進出を決めました。

そして午後7時半ごろ、強風が吹き荒れるなか行われた決勝。

1走の澤田優蘭選手は、「スタートに失敗した」といいながらも、伸びのある走りで2走の辻沙絵選手にタッチします。

辻選手は、厳しい向かい風の中での走りでしたが「いろいろな状況を考えながらタッチワークの練習をしてきた」と3走の松本武尊選手につなげました。

松本選手は、どんな姿勢になっても転ばずにアンカーの生馬知季選手にタッチできるよう体幹トレーニングに力を入れてきました。

松本選手は、「転んでもいいからスピードを上げてタッチしよう」と勝負に出ます。強風の中でも最後のカーブまでスピードを緩めず、攻めた走りを見せた結果、最後のカーブで松本選手は失格になりました。

レースの後、「これまで失格が1回もなく今回初めてということでそれだけ1番攻めたレースだった。そういう意味ではプラスに捉えている」と話した生馬選手。

選手たちは気持ちを新たに、開幕まで100日を切ったパリパラリンピックを見据えました。

「次に向けて前向きに」

1走の澤田優蘭選手は「パリ大会に向けて、それぞれがチャレンジできた試合でもあったかなと思っているので、失格に対して深く受け止めるというよりかは、次に向けてみんなで高めていけたらいいなと思う」と話していました。

2走の辻沙絵選手は「コンディションも予選とは全く違ったし、レーンも内側から外側にと、いろいろ状況が変わってしまったので、その中でも、みんなそれぞれが役割を全うした結果で、いろんなチャレンジもできたと思うので次に向けて前向きにつなげていきたい」と話していました。

3走の松本武尊選手は「今大会のレースの反省、悔しさを生かして頑張っていきたい」と話していました。

アンカーの生馬知季選手は「現状は失格で、もちろん悔しさもあるが、しっかり、このあと失格の原因を把握して話をし、次のレースに向けて切り替えていきたい」と話していました。

女子走り幅跳び 高田千明「パリへの切符をつかみとりたい」

女子走り幅跳び、視覚障害のクラスで5位だった高田千明選手は「もうちょっといきたかったので残念だが、去年やおととしと比べるとだいぶ跳躍をまとめられている。声援のおかげで頑張ろうという気持ちになった。もう1歩踏み込めたらもっと記録が出たかなと思う」と振り返りました。

そして、パリパラリンピックに向けて「首の皮1枚つながっている感じだが、パリに行きたいという気持ちはすごく強くあるので、しっかりそこを目標に調子を上げて、パリへの切符をつかみとりたい」と話していました。