与野党提出の規正法改正案 特別委で質疑 罰則強化など議論

政治資金規正法の改正に向けて衆議院の特別委員会では与野党双方から提出された法案に対する質疑が始まりました。

議員への罰則を強化する具体策や党から支給される「政策活動費」の扱いなどをめぐって議論が行われました。

衆議院の政治改革を議論する特別委員会では
◇自民党の法案
◇立憲民主、国民民主両党の法案
◇日本維新の会の法案などへの質疑が始まり、それぞれの法案の提出者が答弁しました。

この中で
▽議員への罰則強化を含む再発防止策をめぐって、自民党の鈴木馨祐氏は「政治家に直接確認をさせる仕組みの導入で言い逃れをなくし、収入を監査対象にして不記載や虚偽記入も抑止する。各党と丁寧に議論しながら必要かつ有意義な見直しには真摯(しんし)に対応したい」と述べました。

立憲民主党の本庄知史氏は「われわれの法案は会計責任者だけではなく政治家本人に直接義務を負わせ不記載や虚偽記載は刑事罰や公民権停止の対象とすることで責任を明らかにしている」と述べました。

公明党の中野洋昌氏は「立憲民主党などの法案では150万円を超える不記載は過失であっても公民権停止となっているが、公民権停止のほかの違反と比べバランスを欠いているのではないか」と質問しました。

これに対し本庄氏は「高額の寄付は政治の腐敗に結び付く懸念がある。十分合理的な理由がありバランスを欠くとは言えない」と反論しました。

国民民主党の長友慎治氏は共同提出した法案の付則に規正法違反などで議員が起訴された場合の政党交付金の一部交付停止を盛り込んだことに関連して、「問題視しているのは事件発覚後も満額受け取れる今の仕組みだ」と述べ、自民党に制度の創設を検討するよう求めました。

これに対し自民党の鈴木氏は「非常に重要な問題意識だ。どのような対応ができるのか、考えたい」と応じました。

また、
▽党から支給される「政策活動費」の扱いをめぐり立憲民主党の柚木道義氏は「自民党の法案で領収書や明細書を公開しないのは『裏金活動の自由』を守るためではないか。公開を検討すべきだ」と迫りました。

自民党の鈴木氏は「外交関係など使途の公開になじまないものもある。法案に盛り込んだ支出項目ごとに収支報告書に記載する手続きは、間違いがあれば法律違反となる非常に重いものだ」と反論しました。

さらに
▽パーティー券購入者の公開基準額をめぐり柚木氏は「引き下げるほうが透明性が高まることは事実で、なぜ5万円はダメで10万円ならいいのか」とただしました。自民党の藤井比早之氏は「透明性の確保と、個人情報やプライバシー保護の双方のバランスをどう適切に考えるかが重要だ。きりがよく基準として分かりやすい10万円を設定した」と説明しました。

一方、
▽企業・団体献金の扱いについて共産党の塩川鉄也氏は「企業の政治献金は、本質的に政治を買収する賄賂だ。営利目的の企業が強大な財力で政治に影響を与えれば政治は大企業や財界に向けたものになってしまう」と主張しました。

これに対し自民党の鈴木氏は「企業にも政治参加の自由があり禁止することは考えていない。薄く広く多くの多様な者に依拠する政治にすることは極めて重要だ」と述べました。一方、立憲民主党の落合貴之氏は「政治資金パーティー自体が企業・団体献金の代替になっており、企業・団体献金とパーティー券の購入を禁止し、個人献金中心に変えていく」と述べました。

また、日本維新の会の青柳仁士氏は「企業・団体献金が、政策決定をゆがめる弊害があると認識している。政党支部も含め例外なく禁止する措置を講じなければならない」と述べました。

特別委員会では24日も質疑が行われ、来週27日には、参考人質疑が行われることになっています。

立民 泉代表「充実審議で国民が納得する改革案を」

立憲民主党の泉代表は党の会合で「自民党はきょうの委員会で、パーティー券購入者の公開基準額を10万円を超えるとしていることついて『きりがよい』と答弁していたが、法案のきれは悪い。『できる限り公開したくない』という一点張りで法案をつくったことがよくわかる。月内にも衆議院を通過させようという話まで聞こえてきているが、充実審議をして、国民が納得する政治改革案にたどりつくために頑張りたい」と述べました。

維新 馬場代表「改革進む項目飲み込めるか 自民の決断待つ」

日本維新の会の馬場代表は記者会見で「問題を起こした自民党が1番ぬるい法案を出しており、乗っていくことはありえない。付帯決議をつけるなどのレベルの話ではなく、国民が『あの自民党がよく決断した』と思うような、われわれやほかの野党が出している、改革が進む項目を飲み込めるかどうかにかかっている。参議院での審議もあるので、タイムリミットは近づいており、自民党の決断を待つ」と述べました。

公明 山口代表「議論深め国民の反応見ていく」

公明党の山口代表は党の中央幹事会で「野党もさまざまなアイデアを提供しているので、議論を深め国民の反応を見ていく。議論の成果をもとにどう合意を作っていくか立法府としての役割が問われる。岸田総理大臣も不退転の決意で今の国会で法改正を成し遂げるという意思を示しているので、自民党総裁としての力強いリーダーシップのもとで合意形成に大きく寄与していただきたい」と述べました。

教育 前原代表「自民党法案 反省全くない」

教育無償化を実現する会の前原代表は記者会見で「自民党の法案は反省が全くない。与党である公明党とも折り合っておらず、実現への本気度にも疑問符を投げかけざるをえない」と述べました。

また、国会で統一会派を組む日本維新の会がパーティー券の購入を含む企業・団体献金の禁止を盛り込んだ政治資金規正法の改正案を提出したことについて「企業・団体献金の禁止は同意するが、パーティー券を購入してもらうことは一定の金額で認めるべきで、そこまで制限して本当に政治活動ができるのかと危惧を持っている。将来に禍根を残すものは望ましくなく、強いこだわりを持って賛同しかねるとは言ったが、会派で波風が立ってはいない」と述べました。