クマに襲われ遺体搬送出来ず 林道拡幅工事を実施 秋田 鹿角

秋田県鹿角市の山林で倒れていた男性の遺体を搬送しようとしていた警察官2人がクマに襲われたことを受けて、21日朝から、現場付近まで安全を確保しながら車で移動して遺体を運び出せるよう林道の道幅を広げる工事が行われました。

鹿角市十和田大湯の山林では、5月18日、男性が遺体で見つかり、運び出そうとしていた警察官2人がクマに襲われ、頭や腕などに大けがをしました。

警察などは、山林にはクマがいるおそれがあるうえ、現場が斜面になっていて車では十分に近づけないことから安全の確保が難しいとして、遺体の搬送を中断しています。

これを受けて警察や鹿角市などが対応を検討した結果、車で安全を確保しながら遺体の近くまで移動するため、林道の道幅を広げることになり、21日、国から委託を受けた業者が車で入ることができない林道の途中から遺体付近までの数百メートルの区間で工事を行いました。

警察によりますと、男性の遺体は林道から50メートルほど離れた斜面の茂みにあるということで、警察は搬送については関係機関と協議したうえで22日以降、対応するとしています。

収穫シーズンの「ネマガリダケ」仕入れ停止

秋田県鹿角市十和田大湯の山林では、この時期に旬を迎えるタケノコの一種「ネマガリダケ」が多く自生していますが今回のクマの被害を受けて地元産の仕入れが止まり、市内の卸売業者は、他の県から取り寄せるなどして対応にあたっています。

ネマガリダケは、秋田県内では、岩手県との県境の奥羽山脈の山林などに多く自生する細いたけのこで、5月から7月に収穫のシーズンを迎えます。

ネマガリダケを扱う鹿角市内の卸売業者は、シーズンを迎えた今、1キロ当たり1500円から2000円で販売しているということです。

味がよくほかの山菜よりも高値で売れることから、この時期、多くの人が自分で食べたり業者に販売したりするために山に入るということです。

しかし、今月18日に警察官2人がクマに襲われたエリアへの入山が禁止となったことで、この卸売業者はほとんど入手できなくなり、今は岩手県産のネマガリダケを取り寄せて販売しているということです。

ネマガリダケを扱う会社の児玉良三専務は「鹿角市で採れたネマガリダケはあくが少なくて実が柔らかく、太くておいしいのですがクマによる被害があって仕入れができなくなりました。地域の人の楽しみもなくなり残念ですがしかたないです」と話していました。