政治資金規正法改正 法案あす衆院特別委で審議入り 与野党合意

政治資金規正法の改正に向けて自民党と立憲民主党などがそれぞれ提出した法案について、与野党は22日に衆議院の特別委員会で審議入りし、23日から質疑を行うことで合意しました。後半国会の最大の焦点となる政治改革の議論が本格化します。

衆議院の政治改革を議論する特別委員会は21日に理事懇談会を開き、政治資金規正法の改正に向けた法案の審議日程を協議しました。

その結果、22日に委員会を開き、自民党が単独で提出した法案と立憲民主党と国民民主党が共同提出した法案、それに立憲民主党が単独で提出した政治資金パーティーを全面禁止するための法案と企業・団体献金を禁止するための法案の合わせて4つの法案の趣旨説明を行うことで合意しました。

また、日本維新の会が法案を提出すれば、速やかに審議に入ることも申し合わせました。

そして、
▽23日と翌24日に提出者に対する質疑を、
▽来週27日に参考人に対する質疑を行うことを確認しました。

これにより、後半国会の最大の焦点となる政治改革の議論が本格化します。

自民 森山総務会長「各党協議をして最良の案を」

自民党の森山総務会長は記者会見で「特別委員会の現場でさまざまな協議が始まっていくと思うが、できれば各党協議をして最良の案が整えばいちばんありがたいことだ。協議はお互い理解し合わなければ意味をなさないので、理解を深めていくことが大事だ」と述べました。

自民 梶山幹事長代行 “あすからの議論に委ねる”

自民党の梶山幹事長代行は記者会見で、自民党の法案を修正する可能性があるか問われたのに対し「野党の法案の内容は精査するが、これから国会の現場で協議が進むことになるので、あすからの議論に委ねたい。公明党と力を合わせ、野党の意見も伺いながら改正案の成立に万全を期したい」と述べました。

立民 笠国対委員長代理 “自民党案の問題点 明らかに”

野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の笠 国会対策委員長代理は、記者団に対し「連座制による罰則の強化、企業・団体献金の禁止や制限、そして政策活動費の廃止や使途の公開という方向性では、自民党以外の政党は同じ方向を向いている。自民党だけが非常に後ろ向きな薄っぺらい改革案になっており、問題点を質疑の中で明らかにし国民の理解が得られるよう各党と協力しながら取り組んでいきたい」と述べました。

自民と立民の実務者会談 双方の法案内容説明

政治資金規正法の改正に向けて22日から衆議院で法案の審議が始まるのを前に、自民党と立憲民主党の実務者が会談しそれぞれが国会に提出した法案の内容を説明しました。

このあと自民党の鈴木馨祐氏は記者団に対し「それぞれ党の考え方を説明し議論していくことになる。建設的な形で再発防止を中心に議論が行われるよう努力していきたい」と述べました。

立憲民主党の落合貴之氏は「自民党の法案との違いを指摘しながら説明した。自民党の法案はたくさん穴があるので、特別委員会で一つ一つ確認していきたい」と述べました。

立民 岡田幹事長と共産 小池書記局長会談 立民・国民の案を説明

政治資金規正法の改正をめぐり、立憲民主党の岡田幹事長は、共産党の小池書記局長と国会内で会談しました。

この中で岡田氏は、20日国民民主党と共同で提出した改正案について、議員本人への罰則の強化や「政策活動費」の支給禁止などを盛り込んでいることを説明しました。

また立憲民主党が単独で提出した、政治資金パーティーを全面禁止するための法案と企業・団体献金を禁止するための法案についても説明し、これに対し小池氏は「特別委員会では企業・団体献金の禁止を中心に据えてしっかり議論すべきだ」などと応じました。

立民 岡田幹事長「自民党法案 いかに抜け穴多いか明らか」

立憲民主党の岡田幹事長は記者会見で「自民党の法案が、いかに抜け穴が多いかは明らかで、特別委員会では不十分さを具体的に指摘していく。われわれの法案は非常に優れたものだと自負しているので、しっかり説明したい」と述べました。

そのうえで「ある程度、時間をかけて法案を審議することになれば、会期中に収まらなくなる。岸田総理大臣がみずからの手で衆議院を解散したいと思えば、会期を延長して、解散のチャンスをうかがうのではないか」と述べました。

維新と自民の国対委員長が会談 維新の改正案を説明

政治資金規正法の改正をめぐり、日本維新の会の遠藤国会対策委員長は自民党の浜田国会対策委員長と21日午前、国会内で会談し、日本維新の会の改正案について説明しました。

改正案には今の「政策活動費」を見直し、党勢の拡大や政策立案などの支出に限定したうえで、10年後に使いみちを公開する新たな制度にすることなどが盛り込まれていて、遠藤氏は22日に衆議院に提出することを伝えました。

維新 遠藤国対委員長「揚げ足をとって議論停滞ないよう指示」

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、自民党の浜田国会対策委員長との会談のあと記者団に対し「いかに国民の理解を深められる委員会にできるかどうかが大きな課題だ。それぞれの政党の歴史に鑑みて議論を進める必要があり、揚げ足をとって議論が停滞することがないよう特別委員会のメンバーには指示したい」と述べました。

公明 山口代表「自民独自に法案にした部分説明を」

公明党の山口代表は記者会見で「建設的な議論を通じて今の国会で法案の成立を期していく決意であり、合意形成に資する議論を党としても行いたい。岸田総理大臣には問題を起こした自民党の総裁という立場があるので指導力を発揮してほしい」と述べました。

そのうえで公明党がパーティー券の購入者を公開する基準額を現在の「20万円を超える」から「5万円を超える」に引き下げるよう主張していることについて「5万円は寄付の公開基準であり法的根拠がある。自民党は独自に法案にした部分について理由をきちんと説明し質問にも丁寧に答えていただきたい」と述べました。

共産 穀田国対委員長「国民の前で徹底した審議を」

共産党の穀田国会対策委員長は、記者会見で「真相解明なくして改革はなく、企業・団体献金の禁止ができないようでは、裏金づくりを野放しにすることになる。企業・団体献金の禁止こそが核心で、国民の前で徹底した審議をすべきであり、法案の修正協議などと言って、暗闇の中で議論するようなことがあってはならない」と述べました。

国民 玉木代表「維新 提出予定の法案に疑問」

国民民主党の玉木代表は記者会見で、立憲民主党と共同で法案を提出したことについて「改革を強く求める側がまとまってプレッシャーをかけていったほうがよりよい改革が実現するということで、一致する部分は共同で法案を提出した。国会の場で国民の後押しを得ながら透明度を高める改革をぜひ実現したい」と述べました。

また、日本維新の会が提出する予定の法案について「『政策活動費』の使いみちを10年後に公開するということのようだが国民が納得する公開のあり方かは疑問がある。野党が足並みをそろえて、自民党に『政策活動費』をやめろと迫ったほうが迫力が出る」と述べました。