定額減税 給与明細に所得税の減税額を明記 企業に義務づけ

来月から実施する定額減税について、政府は、給与などを支払う企業に対し、給与明細に所得税の減税額を明記するよう義務づけることにしています。

政府が実施する定額減税では、1人当たり年間で所得税が3万円、住民税が1万円減税され、会社員など給与所得者については、扶養家族の分も含めて、来月以降、支給される給与やボーナスに反映されます。

このうち所得税について政府は、給与などを支払う企業に対し、減税額を給与明細に明記するよう義務づけるため、関連する法律の施行規則を改正しました。

政府としては、実際にいくら減税されたかを示すことで、手取りの増加を実感してもらうねらいがあります。

一方、住民税については6月分は一律、徴収されないため明細上は0円となり、7月以降の11か月で、減税が反映された納税額を徴収されることになります。

これに関連して鈴木財務大臣は、21日の閣議のあとの記者会見で「賃金の上昇が現れる時期にあわせて減税を行うことで、上昇を実感してもらうことがデフレマインドの払拭(ふっしょく)につながり経済の新たな局面への動きを支えていくことになる」と、減税の意義を改めて強調しました。

そのうえで、減税に伴う企業などの事務負担については、「一定の負担が生じることは事実だ。企業などにとって負担といえば負担だが、ぜひ協力をお願いしたい」と述べ、理解を求めました。

林官房長官「政府一丸で丁寧な発信に努める」

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「デフレマインドからの脱却につなげていくには、国民が施策の効果を実感できるようにすることが重要であり、減税額について、源泉徴収義務者において給与明細に明記してもらうことにしている。徴収義務者に一定の負担をお願いしているのは事実で、制度の趣旨や概要について、引き続き、政府一丸となって丁寧な発信に努める」と述べました。

新藤経済再生相「可処分所得が上がること 肌で感じて」

新藤経済再生担当大臣は閣議のあとの記者会見で「6月のボーナス時期にあわせたタイミングで減税をすることで可処分所得をかさ上げする効果を期待している。給与明細などにも分かるように記載し、減税を通じて可処分所得が上がっていくことを国民にみずからの肌で感じてもらいたい」と述べました。

地方自治体は対応に追われる

来月から、定額減税が実施されるのを前に、地方自治体は対応に追われています。

今回の定額減税では、1人当たり年間で所得税が3万円、住民税が1万円減税され、このうち、住民税については、地方自治体が対応にあたっています。

鳥取市役所では今月17日、住民税などの通知書をおよそ6300の企業に発送する作業に追われていました。

通知書は、従業員一人一人の納税額が記されていて、毎年5月末までに企業に送っているものです。

今回の通知書には、定額減税で、住民税がいくら減ったか一目でわかるように、「定額減税額」が印字されています。

例えば、扶養家族が1人いる従業員は、住民税のうち、市民税が1万2000円、県民税が8000円控除され、通知書には、こうした金額が明記されます。

このほか市役所では、今後、個人事業主などに発送する通知書の減税額の確認をしたり、制度をわかりやすく説明するための資料を作成したりと、対応に追われていました。

市によりますと、例年、3月中には、次の年度の税制改正を踏まえたシステムの改修を終えていますが、ことしは、定額減税が実施される影響で、システムの改修が今月まで続いたということです。

鳥取市市民税課の谷本泰志課長補佐は、「定額減税は物価高に賃金上昇が追いついていないという方を支えるためと理解しており、もともと繁忙期ですが、いかに効率よく業務を回すか工夫をして対応しています。定額減税の仕組みはなかなか複雑なので、丁寧な説明を行っていきたい」と話していました。