林官房長官 “拉致被害者の認定にかかわらず 帰国実現に全力”

林官房長官は、北朝鮮に拉致された可能性が排除できない、いわゆる特定失踪者の家族会のメンバーらと面会し、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、すべての被害者の一日も早い帰国の実現に向けて、全力で取り組む考えを伝えました。

拉致問題を担当する林官房長官は20日午後、総理大臣官邸で「特定失踪者家族会」のメンバーらと面会しました。

この中で林官房長官は「2002年に5人の拉致被害者の方々が帰国して以来、1人の帰国も実現していないことは痛恨の極みで、誠に申し訳なく思っている」と述べました。

その上で「岸田総理大臣はこれまでも日朝首脳会談を実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を進めていくと述べている。岸田総理の指示のもと、認定の有無にかかわらず、すべての拉致被害者の1日も早い帰国の実現に向けて全力で果断に取り組んでいく」と述べました。

これに対し「特定失踪者家族会」の今井英輝会長は、「政府は2006年に特定失踪者の松本京子さんを拉致認定し、その後一切していない。拉致された可能性が濃厚な人について、全員の資料があるので、早急に認定に取りかかってほしい」と訴えました。

家族会の会長「日本が主導権持って早期解決を」

面会のあと「特定失踪者家族会」の会長で、1969年に青森県弘前市の自宅を出たまま行方が分からなくなった今井裕さんの兄の英輝さん(81)は「拉致された人も日本で待ってる人たちも高齢化しており、日本が主導権を持って早期解決に努めてほしい。弟を拉致被害者と認定するため、警察はもう一度見直しを進めてほしい」と話しました。

また、1974年に新潟県佐渡市で行方が分からなくなった大澤孝司さんの兄の昭一さん(88)は「警察は、状況証拠であっても、拉致被害者と認定できる人は認定し、それを糸口に解決に向けて進めてもらいたい」と話しました。