“サウジアラビア国王 肺に炎症で治療へ” 皇太子の訪日延期

中東のサウジアラビアの国営通信はサルマン国王の肺に炎症が見つかり、治療を受けると伝えました。サルマン国王は88歳と高齢である上、ムハンマド皇太子が20日から予定されていた日本訪問を急きょ延期しただけに、国王の健康状態に関心が寄せられています。

サウジアラビアの国営通信は19日、高熱や関節の痛みを訴え、検査を受けていたサルマン国王の肺に炎症が見つかったため、医師団が薬での治療を行うと伝えました。国王の詳しい病状などは明らかになっていません。

これを受けて、息子のムハンマド皇太子は20日から予定されていた日本訪問を急きょ延期しました。

サルマン国王はおととし、みずからが兼任してきた首相にムハンマド皇太子を任命し、「脱石油」を掲げる経済政策を主導させるなど皇太子への権力の集中を進めています。

サウジアラビアの国王は、国内にイスラム教の2つの聖地があることから「二大聖地の守護者」を名乗り、世界有数の産油国として原油市場の動向にも影響力があるだけに、サルマン国王の健康状態に関心が寄せられています。

ムハンマド皇太子 岸田首相と会談の予定だった

サウジアラビアのムハンマド皇太子は、20日から23日までの4日間の日程で、公賓として日本を訪れ、天皇陛下との会見のほか、岸田総理大臣との首脳会談などを行う予定でした。

これについて林官房長官は、20日午前の記者会見で「きのうの深夜、サウジアラビアから日本政府に対し『サルマン国王の健康状態を受け、訪日は延期せざるをえなくなった』と連絡があった」と明らかにしました。

政府は、ムハンマド皇太子の訪問日程について、サウジアラビア側と改めて調整する考えです。