パラ陸上 世界選手権 澤田優蘭が銅メダル 走り幅跳び 視覚障害

パラ陸上の世界選手権は大会3日目の19日、女子走り幅跳び視覚障害のクラスの決勝が行われ澤田優蘭選手が今シーズンの自己ベストとなる5メートルをマークして銅メダルを獲得しました。

神戸市で開かれているパラ陸上の世界選手権は大会3日目の19日、女子走り幅跳び視覚障害のクラスの決勝が行われ、去年の世界選手権で銅メダルを獲得した33歳の澤田選手が出場しました。

澤田選手は2回目の跳躍で4メートル91センチを跳んでマークすると、最後の6回目には磨いてきたという力強い踏み切りから今シーズンの自己ベストとなる5メートルまで記録を伸ばし、銅メダルを獲得しました。

澤田優蘭「今季では1番いい形で跳べた」

澤田優蘭選手は「ほっとしているが、記録的にはもう少し出したかったので悔しさもある。しっかり助走して踏み切りにつなげるのを意識的にやっていて、全体的にやりたい動きはできた。今シーズンでは1番いい形で跳べたと思う」と落ち着いた表情で話していました。
そのうえで「今大会は日本での開催でたくさんの応援があり、途中から楽しく跳躍することができた。パリパラリンピックではもちろんメダルを獲得したい。周りの選手もどんどん記録を上げてきているので、私自身も自己ベストに迫る記録を目指していきたい」と今後の抱負を語りました。

◇澤田優蘭(さわだ・うらん)選手

澤田優蘭選手は東京都出身の33歳。6歳の時に視力と視野が徐々に低下する進行性の病気を発症し、残っている視野はわずかです。高校生の時に盲学校に入学したことをきっかけにパラ陸上を始め、2008年の北京パラリンピックに女子走り幅跳びと100メートルのクラスで初めて出場しました。

しかし、視力がさらに低下し、ロンドン大会に出場できずに一時、競技を引退しましたが、その後、東京大会の開催が決まったことから復帰を決断し、得意の走り幅跳びで5位に入りました。

そして、去年の世界選手権でシーズンの自己ベストを更新して銅メダルを獲得し、パリパラリンピックの出場枠を獲得しました。また、障害の異なる男女4人が走る400メートルユニバーサルリレーでも金メダルの獲得に貢献しました。

男子走り幅跳び 義足 山本篤 今季自己ベストで5位

男子走り幅跳び義足のクラスの決勝では、日本の第一人者、山本篤 選手が今シーズンの自己ベストとなる6メートル48センチをマークし5位でした。

神戸市で開かれているパラ陸上の世界選手権は大会3日目の19日午後、男子走り幅跳び義足のクラスの決勝が行われ、リオデジャネイロパラリンピックのこの種目で銀メダルを獲得した日本の第一人者、山本選手が出場しました。

山本選手は3回目の跳躍で取り組んできた大きなストライドの走りから力強く踏み切って今シーズンの自己ベストとなる6メートル48センチをマークして、3番手につけましたが、その後、他の選手が記録を伸ばし5位でした。

同じく決勝に出場した23歳の近藤元 選手は、自己ベストを更新する6メートル18センチで7位でした。

また、女子800メートル車いすのクラスの決勝で冬の北京パラリンピックのアルペンスキーで3つの金メダルを獲得した”二刀流”の村岡桃佳 選手が序盤から力強い走りを見せ、2番手で最後の100メートルを迎えましたが、後続を走っていた選手に競り負けて1分58秒88のタイムで4位でした。

このほか、女子100メートル腕に障害のあるクラスの決勝で辻沙絵 選手は強化してきたスピードを生かして好スタートを切りましたが、後半はスピードを持続できず13秒12のタイムで7位でした。

山本篤「今の状態でのベストジャンプできた」

山本篤 選手は「5位という結果には終わってしまったが、自分の今の状態の中でのベストジャンプができたのかなと思う。東京パラリンピックのあとは練習が満足にできず、いいジャンプができない中で自分の中ですごくフラストレーションがたまっていた。東京パラリンピックでかなわなかった、たくさんの観客の中でベストジャンプができてすごくうれしい」と話し手応えを感じていました。

そのうえで「現状ではパリパラリンピックの代表に選ばれないと思うので、さらに結果を出して世界ランキングをもう少し上げていきたい。これからも競技は続くのでたくさん応援してもらえればうれしい」と話していました。

近藤元「もっと上を目指していたのでふがいない」

近藤元 選手は「自己ベストを更新したことはうれしいが、もっと上を目指していたのでふがいない気持ちでいっぱい。まだまだ記録を伸ばしていけると思っていたが、気合いが入りすぎて空回りしてしまった」と振り返りました。

そのうえで「まだまだ僕は長い距離を跳べると思っているので、パリパラリンピックの最終選考となる日本選手権に向けてしっかりと修正し、よりよいパフォーマンスと結果を出してなんとか出場を決めたい」と意気込みを話していました。

村岡桃佳「競り負けた部分は私の弱さ まだまだ」

村岡桃佳 選手は「悔しさはすごく大きいが、800メートルのレース経験が少なく、誰かが出て行って、それをみんなで追いかける感じのレース展開を経験したことなかったので、貴重な経験になった。最後に競り負けてしまった部分は私の弱さの部分なので、まだまだだと感じた」と振り返りました。

そして、大会6日目に行われる100メートルに向けて「パリパラリンピックに向けた大事な大会だが、結果ばかりを見てしまうと、自分らしい走りができなくなってしまうので、1本1本のレースを大切にして臨んで、パリ大会につなげたい」と意気込みを示しました。

辻沙絵「ちょっと硬くなってしまった」

辻沙絵 選手は「ちょっと硬くなってしまった。スタートは強化してきたスピードを生かした走りができたが、後半競ったときにスピードがなくなってしまったので残念。もう少し大きな走りでリズムよく伸びやかに走れたらよかったが、それができなかった」と悔しそうな表情でした。

そのうえで「世界選手権の100メートルは2017年以来だと思うので、久しぶりに決勝に出られたのはすごくよかった。今後につながる大会になった。次の200メートルに向けてしっかり調整していきたい」と話していました。

男子400m脳性まひなどのクラス 松本武尊が4位

男子400メートル、脳性まひなどのクラスの決勝には22歳の松本武尊選手が出場しました。松本選手は最初の100メートルは7番手で前を追う展開となりましたが、持ち味の大きなストライドを生かした走りで順位を上げ、56秒42のタイムで4位に入りました。

男子1500m視覚障害のクラス 和田伸也は決勝へ

男子1500メートル視覚障害のクラスの予選に46歳の和田伸也選手と、17日の5000メートルで銅メダルを獲得した唐澤剣也選手が出場しました。

東京パラリンピックのこの種目で銀メダルを獲得した和田選手は4分9秒40のタイムで全体の4位に入って20日の決勝に進みました。
一方、唐澤選手は4分10秒33で全体の7位となり、決勝進出はなりませんでした。