秋田 クマに襲われ警察官2人重傷 男性の遺体搬送はあす協議

秋田県鹿角市の山林で遺体を搬送する作業をしていた警察官2人がクマに襲われたことを受け、中断していた搬送作業は安全の確保が難しいことから19日も再開できませんでした。20日に改めて対応を協議することにしています。

鹿角市十和田大湯の山林では18日、男性が倒れているのが見つかり、遺体を運ぼうとしていた警察官2人がクマに襲われて頭や腕などに大けがをしました。

男性の遺体を運ぶため、19日に警察のヘリコプターが上空から現場の状況を確認したうえで、警察と猟友会あわせて10人余りが現場に向かいましたが、車で近づくことができず安全の確保が難しいとして断念しました。

20日に改めて対応を協議して、安全が確保できれば現場に入って遺体の搬送作業を再開することにしています。

クマによる被害を受けて市や警察は一般の人が立ち入らないよう現場付近の道路を通行止めにするとともに、近くに住む人に警戒を呼びかけています。

60代女性を保護「沢に落ちてしまった」

一方、18日に同じ山林に山菜採りに入ったまま行方がわからなくなっていた60代の女性は、19日7時半ごろ、自力で歩いてきたところを警察に保護されました。

女性は「沢に落ちてしまった」と話し、手首や腰などに痛みを訴えて病院に搬送されましたが、命に別状はなく、クマに襲われたけがはないということです。

入山を禁止するエリア拡大

今回の事態を受けて、秋田県は、18日夜、県や警察などによる緊急対策会議を開きました。

県の報告では、鹿角市は、現場の山林を含む形で入山を禁止するエリアを拡大し、一般の人が立ち入らないようにしたということです。

また、佐竹知事は「ほかの県からの入山者もいるので注意を呼びかけないといけない。国と話をして、急いで対策を検討していきたい」と述べました。

隣町の秋田 小坂町も入山口すべて閉鎖

鹿角市の隣にある小坂町は、19日朝から現場につながる県道・通称「樹海ライン」沿いにある入山口5か所をすべて閉鎖しました。午前6時すぎ、入山口の前では管理する担当者が「クマによる人身被害が付近で発生しました」と書かれた木の板をゲートに取り付け、山菜採りに訪れた人に理由を説明していました。

千葉県から訪れた70代の男性は「私もクマを何度も見たことがあるので、山林に入るときは鈴を鳴らしたり、火薬で音を出したりして気をつけている」と話していました。

小坂町によりますと、5か所の入山口は18日開放されたばかりだったということです。

秋田 鹿角市 8年前にはクマに襲われ4人が死亡

鹿角市では、8年前の2016年5月から6月にかけて、十和田大湯の山林でタケノコ採りに入った人が相次いでクマに襲われ、当時60代から70代の4人が死亡しています。

市はこれをきっかけに毎年この時期、現場となった山林への立ち入りを規制していて、山林へ向かう道を通行止めにし入山禁止を知らせる看板を設置しています。

一方、今回、警察官2人が襲われた現場は8年前の現場から南東へおよそ8キロ離れた場所で、立ち入りを規制するエリアには含まれていませんでした。

そのため、市は急きょ18日から今回の現場の山林を含む形で入山を禁止するエリアを拡大し、一般の人が立ち入らないよう対策を急いでいます。

◇クマ対策 どうすれば?

警察は山に入る時は
▽複数で行動するほか
▽鈴やラジオを鳴らす
▽クマを撃退するためのスプレーを携帯するなど
対策を徹底するよう呼びかけています。