【詳細】イスラエル・パレスチナ・中東情勢(5月19日)

イスラエル軍が多くの避難者が身を寄せるガザ地区南部のラファに攻撃を続ける中、国連は80万人が別の場所への避難を強いられていると明らかにしました。こうしたなか、アメリカのバイデン政権の高官がイスラエルを訪れ、ラファで大規模な地上作戦を行わないよう働きかけるものとみられ、これ以上の人道状況の悪化を回避できるのかが、焦点となっています。

※中東情勢に関する日本時間5月19日の動きを随時更新してお伝えします。

イスラエル軍は、ガザ地区で多くの避難者が身を寄せる最南端のラファでイスラム組織ハマスへの攻撃を続けていて、追加の部隊も派遣して攻撃を強化する姿勢を見せています。

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長は18日、ラファに身を寄せていた人のうち80万人がさらに別の場所への避難を強いられていると明らかにし、人々が安全な飲料水も確保できない状況にあるとして「これ以上の戦闘のエスカレートは民間人に大惨事をもたらす」と訴えました。

こうした中、アメリカ、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官が19日、イスラエルを訪れ、ネタニヤフ首相らとラファでの軍事作戦などを巡って協議することになっています。

サリバン補佐官は、イスラエル側に大規模な地上作戦は行わずハマスの幹部などに標的を絞った作戦を行うよう働きかけるものとみられ、これ以上の民間人の巻き添えや人道状況の悪化を回避できるのかが、焦点となっています。

イスラエル ガザ地区の統治めぐり政権内の意見の違い表面化

イスラエルは、ガザ地区を実効支配するハマスの壊滅を目指して軍事作戦を続けていますが、ネタニヤフ首相は、ガザ地区をどのような形で統治していくのかなどについて明確な計画を示していません。

こうした中、野党の立場から主要閣僚として戦時内閣に加わっているガンツ前国防相は18日、記者会見を開き、ネタニヤフ首相に対し、ガザ地区の将来的な統治をめぐる計画を策定するよう求めました。

そのうえで、来月8日までに計画が策定されない場合は、戦時内閣から離脱する可能性を示唆しました。

これに先だって、ネタニヤフ首相と同じ政党に所属するガラント国防相も、15日の記者会見で、ハマス以外のパレスチナ人がガザ地区を統治すべきだとする考えを示すとともに、ネタニヤフ首相に対して、ガザ地区をイスラエルが統治しないことを明言するよう迫ったばかりです。

ネタニヤフ首相と、ガンツ氏やガラント氏との間では、これまでも足並みの乱れが伝えられていましたが、戦闘の長期化に伴って、政権内の意見の違いが表面化しています。

米大統領補佐官が訪問へ イスラエル側の対応注目

イスラエル軍は、多くの避難者が身を寄せるガザ地区南部のラファで、イスラム組織ハマスに対し、戦闘員などに標的を絞っているとする攻撃を続けていて、18日、80人以上の戦闘員を殺害したなどと発表しました。

これに加えて、いったんは制圧したとしていた北部のジャバリアでも戦闘を激化させていて、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは18日、子どもや女性を含む少なくとも28人が死亡したと伝えるなど、多くの犠牲者が出ているもようです。

こうした中、アメリカ・ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官が、19日にイスラエルを訪れてネタニヤフ首相らと会談する予定です。

イスラエル軍によるラファへの攻撃をめぐって、バイデン大統領は、大規模な地上作戦を行った場合は砲弾などを供与しないと警告していて、サリバン補佐官は、民間人が巻き添えになる大規模な地上作戦を行わないよう働きかける見通しです。

ただ、イスラエル側はラファに追加の部隊を派遣し攻撃を強化する姿勢を示していて、アメリカの働きかけにどう応じるのかが注目されます。