“インプレゾンビ” やめました

SNSで注目されている投稿に無意味な返信などを繰り返す「インプレゾンビ」と呼ばれるアカウントに対し、日本のユーザーが投稿内容を変えるようよう呼びかけたところ、実際に海外のアカウントが地元の情報を発信するようになり、話題になっています。

「インプレゾンビのみなさん」の呼びかけに…

旧ツイッターのXでは、広告収入を得るため、インプレッション=閲覧数を増やそうと、注目を集めている投稿に無意味な返信などを繰り返す“インプレゾンビ”と呼ばれる海外のアカウントが多く見られます。

中には、災害時のデマの拡散につながっているケースもあり、問題となっています。

こうした中、今月13日、日本のユーザーがXで「インプレゾンビのみなさん、カタコトでもいいので日本語でしゃべりながら地元の料理や音楽をカメラで撮ったもの、自分の日本語学習進捗をアップロードし、インプレを稼ぐのです」と呼びかけました。

すると、それに反応し、海外から地元の料理などを投稿する人たちが続々と現れました。

“インプレゾンビ”から“インフルエンサー”へ

ナイジェリア在住の29歳の男性もその1人です。

男性は翻訳機能を使って日本語で投稿していて、これまでは日本で注目された投稿に短い返信を繰り返してきました。

しかし、呼びかけに応えて、地元の街並みや屋台の食べ物などの写真を投稿したところ、ネットで話題となり、中には1000万回以上表示されるものもありました。

覚えた日本語で「こんにちは みなさん」などと話す動画には5万以上のいいねがつき、フォロワーも2万人以上に増えました。

思わぬ形で始まったSNSでの異文化交流。

ネットでは「インプレゾンビが人に戻った」、「こういうのでいいんだよ、こういうので!」など好意的に受け止める声が見られます。

ナイジェリアの男性「日本の人たちと交流したい」

NHKの取材に対し、ナイジェリア在住の男性は「本当に多くのインプレッションを集めています。確認が追いつかないほどです。私の投稿を日本の人が気に入ってくれて、とてもうれしい驚きです」と話しています。

お金稼ぎのために始めたSNSに対する考え方も変わったということで、「最初はインプレッションを集めるために投稿していましたが、今は、ナイジェリアについて知ってもらえるよい機会だと思っています。いまは、日本の人たちと交流したいという気持ちで投稿しています。ふだんの過ごし方や食べているものなどについて可能なかぎり発信していきたいです」と話していました。

呼びかけた日本のユーザーは…

また、インプレゾンビに呼びかけた日本のユーザーはNHKの取材に対し、「投稿方法を変えてくれた人たちを誇らしく思います。私はエスペラント語を通し言葉の大切さと異なる言語や文化の人と対話する大切さを学びました。今回の出来事で改めて語学の大切さや異文化理解の大切さを感じています」とコメントしています。

一方で、インプレゾンビをめぐっては、人の手による投稿以外にも自動で投稿を行うプログラムもあるとみられ、プラットフォームによる対策も求められています。

サタデーウオッチ9(5月18日放送)