クリミア・タタール人の強制移住80年にあわせ展示会 キーウ

ウクライナ南部の少数民族、クリミア・タタール人が、ソビエト時代、民族ごと強制移住させられてから80年となるのにあわせて、首都キーウでは、タタール人の苦難の歴史を伝える展示会が始まり、クリミアを占領したロシアから再び抑圧され悲劇が繰り返されていると訴えています。

ウクライナ南部の少数民族、クリミア・タタール人は、1944年5月18日から、当時のソビエトのスターリン政権によって、民族ごと中央アジアに強制移住させられました。

18日で強制移住が始まって80年となるのにあわせて、首都キーウで「クリミアのために」と名付けられた展示会が始まり、17日、報道陣に公開されました。

タシェバ・ウクライナ大統領常駐代表は「この展示会は一時期ではなく、数世紀にわたる痛みを伝えるものだ」とあいさつしました。

会場には、クリミア・タタール人の画家が苦難の歴史を描いた絵画やイラストのほか、19世紀に使われていた服や帽子、食器なども展示されています。

タタール人の中には、ソビエト崩壊前後にクリミアに戻った人も多くいます。

しかし、10年前にロシアがクリミアを一方的に併合したあと、再び抑圧され、さらにおととし始まった軍事侵攻を受けて、ロシア軍に徴兵されるおそれが強まり、再び離れざるをえなくなった人も多いといいます。

展示会は6月26日まで開かれ、主催者は悲劇の歴史を広く伝えていきたいとしています。