プーチン大統領 きょうハルビンの旧ソビエト軍兵士記念碑へ

ロシアのプーチン大統領は、中国の習近平国家主席と北京で首脳会談を行い、軍事的な協力を深めることなどを盛り込んだ共同声明に署名しました。両首脳はその後も非公式の会談を行い、ウクライナや東アジア情勢などを巡って対立する欧米側をにらみ、関係強化をアピールしています。

通算5期目に入ったロシアのプーチン大統領は、最初の外国訪問先として中国を公式訪問していて、16日、首都・北京で習近平国家主席と首脳会談を行いました。

会談後、両首脳は共同声明に署名し、このなかで「ロシア側はウクライナ危機の政治的・外交的な解決において建設的な役割を果たそうとする中国の用意を歓迎する」としています。

また、ロシアと中国による合同軍事演習の規模を拡大させることなど軍事的な協力を深めることも盛り込まれています。

両首脳はその後、通訳だけを交えて一緒に散策したりお茶を飲んだりしながら非公式な会談を行ったほか、ロシアの国営メディアによりますと、ラブロフ外相やベロウソフ国防相など双方から4人の主要幹部が参加する形式で夕食をとりながら意見も交わしたということです。

こうした非公式な会談は4時間以上行われたとしていて、ウクライナや東アジア情勢などを巡って対立する欧米側をにらみ、両国の関係強化をアピールしています。

ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は17日、中国東北部の黒竜江省ハルビンで旧ソビエト軍の兵士の記念碑を訪れるほか、地元の大学で講演する予定です。

中国の外交政策の専門家 “米中関係への影響は限定的”

ロシアのプーチン大統領の中国訪問について、中国の外交政策に詳しい、中国人民大学の王義※ガイ教授は「中ロ両国の首脳は再任されたあと最初に互いの国を訪れるのが慣例で、両国の高度で戦略的な相互の信頼を体現している。新しい大国関係の手本だ」と評価しました。

また、中国がロシアに軍事転用可能な物資などを提供しているとアメリカが非難していることについて「中国は武器輸出に一貫して厳しい立場だ。中ロ両国の正常な貿易さえもロシアのウクライナ侵攻と結びつけるのは差別的な非難だ」という考えを示しました。

そのうえで「ロシアが中国に接近しているのは西側諸国の制裁によってみずから招いたことだ」と指摘し、両国の関係強化にはアメリカなどとの対立が背景にあるとしています。

一方、今回の中ロ首脳会談が米中関係に与える影響について「中国は当然アメリカの標的になることを望んでいないし、アメリカも全体として中米関係の安定を望んでいる」と述べ、AI=人工知能や気候変動対策などについて政府間でさまざまな対話を行う中で、関係の安定化が図られているとして、影響は限定的だという見方を示しました。

※ガイは木偏に危。