16日のニューヨーク株式市場では、15日に発表されたアメリカの消費者物価指数の伸びが鈍化したことや小売業の売上高が市場予想を大きく下回ったことが注目されました。
インフレへの懸念が和らぎ、FRBが利下げを始める時期が早まるのではないかとの観測から買い注文が膨らみ、ダウ平均株価は一時、140ドル以上値上がりし、史上初めて4万ドルを超えました。
その後は小幅な下落に転じ、終値は前日に比べて38ドル62セント安い、3万9869ドル38セントでした。
ダウ平均株価は史上初めて3万ドルを超えた2020年11月からおよそ3年半で1万ドル上昇し、この間、アメリカ経済のコロナ禍からの回復と景気の先行きへの期待が株価を押し上げてきました。
ことしに入ってからは生成AIの急速な利用拡大を背景にAIの需要への期待が高まり、関連する半導体銘柄などに買い注文が増えたことも株価押し上げの要因となっています。
ダウ平均株価の去年の年末からの値上がり幅は一時、2300ドルを超えました。
市場関係者は「インフレを抑え込むための金融引き締めで景気の減速が懸念されていただけに、インフレへの懸念が和らいだことが投資家の安心感につながった」と話しています。
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NYダウ平均株価 一時 史上初の4万ドル超え 利下げ観測広がる
ニューヨーク株式市場でダウ平均株価が一時、値上がりし、史上初めて4万ドルを超えました。インフレへの懸念が和らぎ、FRB=連邦準備制度理事会が利下げを始める時期が早まるのではないかとの観測が広がったことが株価上昇の主な要因です。
バイデン大統領「すばらしいニュース」
ニューヨーク株式市場でダウ平均株価が史上初めて4万ドルを超えたことを受けて、バイデン大統領はSNSに「アメリカ国民の年金口座にとってすばらしいニュースであり、アメリカ経済への信頼の表れだ。私は低所得者層や中間層を底上げをする経済をつくっている。われわれの投資は成果をあげている」と投稿し、みずからの経済政策の成果だと強調しました。
ダウ平均株価 これまでの推移
ニューヨーク株式市場のダウ平均株価のこれまでの推移です。
ダウ平均株価は16年前、2008年の年初には1万3000ドルを超える水準でした。
しかし2008年9月のリーマンショックで急落。
2009年3月9日には終値で6547ドル5セントまで値下がりしました。
その後、アメリカ経済の回復とともに株価も回復し、2013年5月には本格的な景気回復への期待から初めて1万5000ドル台をつけるなどゆるやかな上昇傾向が続きます。
2017年1月25日には当時のトランプ大統領が掲げるインフラ投資など景気刺激策への期待感から買い注文が広がり、初めて2万ドルを突破。
2020年3月にはコロナ禍がアメリカ経済に及ぼす影響が懸念されて急落し、終値で1万8500ドル台まで値下がりしました。
ただ、FRB=連邦準備制度理事会による大規模な金融緩和や新型コロナウイルスのワクチン開発への期待から株価は急速に回復。
2020年11月には初めて3万ドルを超え、その後、コロナ禍からの経済の回復への期待から2022年の年初には終値で3万6700ドル台まで値上がりしました。
しかし、2022年にはアメリカで記録的なインフレとなります。
FRBが2022年3月にインフレを抑え込むために金融政策を転換し、利上げを急速に進めたことから株価は再び下落傾向となり、2022年9月には終値で2万8700ドル台まで値下がりしました。
その後は再び上昇傾向に転じ、2023年12月13日にはFRBが利下げに踏み切ることへの期待から初めて3万7000ドルを超えておよそ1年11か月ぶりに史上最高値を更新。
ことしに入ってからも生成AIの急速な利用拡大を背景にAIの需要への期待が高まり、関連する半導体銘柄などに買い注文が入ったことなどから史上最高値の更新が続き、株価は上昇傾向が続いていました。
調査会社の見方は
ニューヨークの金融市場の調査会社「ハイ・フリークエンシー・エコノミクス」のチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は、ダウ平均株価が一時、4万ドルを超えた要因について「企業の収益は驚くほど好調だ。物価上昇率は低下すると予想していて、物価の安定を取り戻す道筋は多少デコボコがあったとしてもまだはっきり見えている。FRBが近いうちに利下げに踏み切るとの強い自信もある」と指摘しました。
そのうえで、アメリカの株価の見通しについて「少なくとも現状のアメリカ経済の状況は株式市場にとって好ましいと言える。経済は高金利の重圧で緩やかに減速するものの、景気後退には陥らないとの見通しだ。これまで予想されていたより、よいソフトランディング=軟着陸になるだろう」と述べました。
一方、ワインバーグ氏は経済の先行きの注意点について「危険な点はアメリカ経済が急速に成長しすぎる可能性があることだ。物価上昇が加速しFRBが金融の引き締めを検討する必要が出てくる事態となることがリスクだと思う」と述べ、物価の動向を注視すべきだという考えを示しました。