岐阜県内のリニアトンネル工事 いったん中断し地質調査へ

岐阜県内にあるリニア中央新幹線のトンネル工事の現場周辺で井戸などの水位が低下している問題で、JR東海はトンネル掘削のルートがこの先、水田が広がる盆地の地下を通るため、その手前でいったん工事を中断して地質調査を行う方針を示しました。

岐阜県瑞浪市にあるリニア中央新幹線のトンネル工事の現場では2つの区間で地下水が湧き出し、周辺にある井戸やため池、共同水源の水位の低下が確認されました。

この問題についてJR東海の丹羽俊介社長は16日の記者会見で「地域の皆様に大変なご心配とご迷惑をおかけしている。地域の皆様や関係自治体ときめ細かくコミュニケーションをとり真摯(しんし)に対応していく」と述べました。

そのうえで、今後の工事の進め方について、丹羽社長はトンネル掘削のルートがこの先、水田が広がる盆地の地下を通るため、その手前でいったん工事を中断して地質調査を行う方針を示しました。

さらに専門家の意見を聞きながら工事を進めるにあたっての追加対策が必要かどうかを検討する考えを示しました。

一方、トンネル掘削の現場では、今も毎秒20リットル程度の地下水が湧き出していることから、JR東海では地盤に薬液を注入するなど水を止めるための対策の実施も急ぐことにしています。

岐阜 御嵩町 残土の協議一時停止を申し入れ

リニア中央新幹線のトンネル工事の残土置き場についてJR東海と協議していた岐阜県御嵩町は隣の瑞浪市で井戸などの水位が低下している問題の原因や対策が明らかになるまで残土の協議を一時停止するよう申し入れました。

リニア中央新幹線のトンネル工事の残土について、御嵩町では基準を超えた自然由来の重金属が含まれる残土は町有地への搬入を認めず、それ以外の残土については受け入れる方針を決め14日からJR東海と協議を始めていました。

こうした中、隣の瑞浪市のリニアのトンネル工事現場の近くで個人の井戸やため池などの水位が低下した問題が明らかになり、御嵩町は、16日、残土の協議を一時停止するようJR東海に文書で申し入れました。

この中で、御嵩町は、町内には、瑞浪市と同じように井戸水や農業用水を利用している住民がいるため、住民の不安が払拭(ふっしょく)される必要があるとしています。

また、御嵩町は井戸などの水位が低下している問題を報道で知ったとしていて、水位低下の原因と対策に加えて、連絡体制の改善方法が明確になるまで協議を一時停止するよう求めています。