“北朝鮮 暗号資産約5600億円奪ったサイバー攻撃 関与の疑い”

北朝鮮に対する制裁の実施状況の調査にあたり、先月で活動を停止した国連安全保障理事会の専門家パネルの一部メンバーが、2017年から先月までに北朝鮮が、およそ36億ドル、日本円でおよそ5600億円相当の暗号資産を奪ったサイバー攻撃に関与していた疑いがあると指摘したことが分かりました。

国連安保理の専門家パネルは、北朝鮮に対する制裁の実施状況を調査してきましたが、任期を延長する決議案がロシアの拒否権によって否決され、先月末で活動を停止しました。

国連の外交筋によりますと、専門家パネルの一部のメンバーが、任期切れまでに行った調査結果について、今月10日、安保理の制裁委員会に報告したということです。

報告では、北朝鮮が2017年から先月までに97件、金額にして合わせておよそ36億ドル、日本円でおよそ5600億円相当の暗号資産を奪ったサイバー攻撃に関与していた疑いがあると指摘したことが分かりました。

このうち、北朝鮮が暗号資産の取引所からサイバー攻撃で盗んだおよそ230億円相当については、ことし3月に暗号資産の匿名性を高める「ミキシング」と呼ばれるサービスを使って資金洗浄した疑いがあるとしています。

報告では、北朝鮮がサイバー攻撃で得た資金を核・ミサイル開発に充てていると分析していて、今後、専門家パネルの活動停止によって制裁違反に対する国連の監視が弱まることが懸念されています。